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相続時精算課税制度 ~値上がりする財産を贈与する~

値上がりしても贈与時の額で

 相続時精算課税制度の持ち戻しに際しては、もう一つ、「時価主義」というルールがあります。たとえば、有価証券を時価100円のときに贈与した場合、持ち戻しの際にそれが時価10万円に高騰していたとしても、1円に急落していたとしても、贈与時の時価10円で評価されるというルールです。

 この時価の差を利用すれば、相続財産を実質的に減らして、相続税をおさえることができます。

 たとえば、親が持っている農地に、将来幹線道路が通る予定だとしましょう。しかしまだ正式発表されておらず、土地の評価額はまださほど上がっていません。

 そこで、これ以上評価額が上がる前に、子にその土地を贈与します。現在の評価額が2000万円ほどの土地なので、相続時精算課税を利用します。

 さて、幹線道路は無事開通し、親子の予想どおり、土地の評価額はぐんと上がりました。

 一方、相続で持ち戻された際は、評価額はもとの時価である低い額で済ませられるのです。

値上がりは確約できない?

 しかし残念ながら、これはロジックが先走りしたテクニックです。

 確実に値上がりする財産ならともかく、そうでない場合、時価がそのままなら問題はありませんが、下落していた場合は、余分な相続税を納めることになります。

 先ほどの幹線道路の例でいえば、「幹線道路計画がとん挫して、上がりかけていた土地の評価額も下がってしまった」というケースです。ですから、本当に確実に値上がりする財産を見極められた場合にだけ、このテクニックの利用をおすすめします。…むずかしいとは思いますが。

 実は、この時価主義は、暦年贈与に相対的なメリットをもたらしています。

 相続時精算課税は、財産の時価の変動によっては、税を余分に払うリスクが常につきまといます。一方、暦年贈与は、その年ごとに税を精算してしまいますから、贈与財産の価値がその後どんなに値上がりしても、税金が増えるリスクがありません。

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