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贈与不成立で名義預金と認定される落とし穴

「合意どおり」?それとも「取り消した」?

 前項で、契約が成立する要件として3つを挙げましたが、これに加え、実際に財産が受け渡されたかどうか、つまり契約どおり履行されたかどうかが、贈与では重視されます。

 なぜなら、契約は合意すれば簡単に成り立つと同時に、片方が「やはりやめたい」と合意を解けば、簡単に取り消せもするからです。この特徴が相続の際に、贈与財産をめぐる以下のようなトラブルに結びつきます。

 相続時に、贈与が履行済みであることを証明できない財産が出てきたとしましょう。たとえば、「贈られた現金を親の家に預け、使い道ができたら引き取ろうと思っていた」といったケースです。

 税務調査では次のように判断されるのです。

「合意が途中で解かれて契約が取り消され、実際にはあなたに渡らなかったんじゃありませんか?」

 取り消されなかったことを証明できない限り、「取り消されたもの」とみなす。それが法律のルールです。この場合、相続財産として処理されます。

名義預金の落とし穴

 では、親が子に「このお金、あなたの名前で預金しておくから」と知らせ、子名義の通帳を作った場合は、どうでしょうか。

 子は贈与に合意しており、お金は子名義の預金になっているのですから、一見、贈与が成立しているように思われます。

 しかし法律では、受け取った側が贈与財産を自由に処分したり運用できる状態になければ、贈与が履行されたとは認められません。なぜでしょうか。

 贈与は無償で行われますから、たとえば売買のように、対価の支払いで契約の履行を確かめることができません。「確かに財産を贈与・受贈した」という証が、別のかたちで必要になるのです。

 特に相続時には、それを確実なかたちで証明しなければなりません。証明できない名義預金は、相続財産とされるケースがほとんどです。

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