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チェスター相続税実務研究所

埋蔵文化財包蔵地の評価

2017/01/18

評価対象地が埋蔵文化財包蔵地に該当する場合、土地の評価をするうえで、なんらかの評価額の減額は可能なのでしょうか。財産評価基本通達においては明確な評価基準はありませんが、以下裁決事例により、基本的な考え方が示されました。

【H20.9.25付裁決事例】

「周知の埋蔵文化財包蔵地については発掘調査費用の額の80%相当額を控除して評価することが相当であるとした事例(平成17年3月相続開始に係る相続税の更正の請求に対してされた更正処分/一部取消し)」

審判所判断の一部抜粋
イ そこで、本件各土地に係る埋蔵文化財の発掘調査費用の負担が、評価に当たって、所要の考慮を検討するのが相当と認められる土地の価額に影響を及ぼすべき客観的なその土地固有の事情に該当するかを検討する。
本件各土地は、上記(1)のホのとおり、宅地として利用される地域に所在し、その相続税の評価においても、市街地山林であることから、評価基本通達においては宅地化を前提として評価される土地であると認められる。
本件各土地は、上記(1)のイのとおり、周知の埋蔵文化財包蔵地に該当すると認められるJ貝塚の区域内に所在し、実際に本件A土地及び本件B土地の一部に貝塚部分が存在していることから、宅地開発に係る土木工事等を行う場合には、上記(1)のロのとおり、文化財保護法第93条の規定に基づき、埋蔵文化財の発掘調査を行わなければならないことが明らかである。しかも、その発掘調査費用は、その所有者(事業者)が負担することになり、その金額も、上記(1)のハのとおり、発掘調査基準に基づき積算したところ約○億円もの高額になる。
そうすると、上記の宅地開発における埋蔵文化財の発掘調査費用の負担は、一般的利用が宅地であることを前提として評価される本件各土地において、その価額(時価)に重大な影響を及ぼす本件各土地固有の客観的な事情に該当すると認められる。
そして、上記(1)のヘのとおり、本件各土地に接面する路線に付されている路線価は、周知の埋蔵文化財包蔵地であることを考慮して評定されたものとは認められず、また、評価基本通達上に発掘調査費用の負担に係る補正方法の定めも認められないことから、本件各土地の評価上、当該事情について、所要の考慮を検討するのが相当である。

ロ 固有の事情の考慮
本件各土地は、上記(1)のイないしハのとおり、周知の埋蔵文化財包蔵地に該当するため、文化財保護法の規定により、その宅地開発において発掘調査費用の負担が見込まれる土地であるところ、かかる負担は、土壌汚染地について、有害物質の除去、拡散の防止その他の汚染の除去等の措置に要する費用負担が法令によって義務付けられる状況に類似するものと認められる。
土壌汚染地の評価方法については、課税実務上、別紙1の4のとおり、その土壌汚染がないものとして評価した価額から、浄化・改善費用に相当する金額等を控除した価額による旨の本件情報に基づく取扱いをしているところ、これは、土壌汚染地について、土壌汚染対策法の規定によってその所有者等に有害物質の除去等の措置を講ずる必要が生じその除去等の費用が発生することなどの要因が、当該土壌汚染地の価格形成に影響を及ぼすことを考慮したものであり、この取扱いは当審判所においても相当と認められる。
そこで、本件各土地に存する固有の事情の考慮は、類似する状況における土地評価方法についての取扱いを明らかにした本件情報に準じて行うことが相当と認められる(本件各土地の評価の基礎となる路線価は、上記(2)のイのとおり、地価公示価格水準の80%程度で評定されているところ、本件情報において評価上控除する「浄化・改善費用に相当する金額」は見積額の80%相当額とされており、価格水準のバランスが取られている)。
ただし、土壌汚染地と異なり、使用収益制限による減価及び心理的な嫌悪感から生ずる減価の要因はないと認められるので、発掘調査費用分について考慮すれば足りる。

ハ 原処分庁の評価方法について
一方、原処分庁は、埋蔵文化財の発掘調査費用の控除は必要なく、文化財保護法による法的規制等を考慮して10%の減額をすれば足りる旨主張する。
しかしながら、上記(1)のハのとおり、発掘調査基準に基づき、本件各土地の状況に応じた調査費用が見積もられているところ、原処分庁の減額は当該見積額を大きく下回るという本件各土地の固有事情の下では、固有事情の考慮として不十分というべきであり、原処分庁の評価方法は採用することができない。

以上より、埋蔵文化財包蔵地に係る土地評価につき、発掘調査費用が所有者負担である場合には、その費用を控除することができるとされていますが、この裁決事例のケースは、発掘調査費用の負担が明らかである場合です。通常、発掘調査費用は、実際に発掘を行う前提でなければ、事前に費用の見積もりを出すことは難しく、その土地を売却等する予定が無い場合には、その費用の負担の有無が明らかにならないことになります。

したがって、評価対象地につき引き続き所有し続ける場合等、実際の発掘調査費用の負担の有無が明らかにならない場合には、埋蔵文化財包蔵地であっても、発掘調査費用の控除はリスクがあるものと思われます。

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