死亡保険は、遺された遺族の生活を支える大切な財産です。しかし、もし受取人も死亡してしまっている場合は、保険金はいったい誰が受け取ることになるのでしょうか。このページでは、受取人が被保険者より先に死亡してしまった場合の対処法や、受取人を変更しないまま支払事由が起こってしまった場合のデメリットなどについてご紹介します。
~目次~
1.受取人が死亡した場合、通常は受取人変更の手続きを行う
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保険金の受取人が死亡した場合は、保険金の支払事由(保険金が支払われる理由)が発生するまでに、すみやかに受取人を変更する必要があります(※なお、中には約款で受取人の変更ができないとされている保険もあります)。
支払事由が発生した後は、たとえ契約者であっても受取人の任意の変更ができないため、注意が必要です。
1-1.受取人変更手続きの流れ
受取人の変更に必要となるものは契約内容や保険会社によって異なるため一概にはいえませんが、以下のものを求められるケースが多いでしょう。
・被保険者の同意
・保険証券(証券番号)
・印鑑
・契約者の身分証明証
・変更手続きの各書類
受取人の変更手続きを行うことができるのは、基本的には契約者本人となります。契約者本人もしくは代理人が保険会社に連絡し、受取人の名義変更や、保険金の送金先となる口座の変更手続きなどを行います。
2.受取人変更手続きが未了のまま保険事故が発生したら?
受取人が死亡している状態で保険金の支払事由が発生した場合、保険金の受取人は以下のようになります。
2-1.通常は受取人の法定相続人が受取人になる
(保険金受取人の死亡)
第四十六条 保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。
引用元:保険法第四十六条(e-Gov)
上記は、保険契約のルールを定めた「保険法」にある一文です。保険の契約内容に特別な記載がないかぎり、本来の受取人が死亡している場合はこのルールに沿って保険金が支払われます。よって、契約者が本当に保険金を渡したい相手以外にまで分配されてしまう可能性も否めません。
たとえばAさんが、結婚前に自分の父親を受取人とする死亡保険に加入したとします。結婚後に父親が死亡し、受取人の変更をしないまま被保険者(Aさん)も死亡してしまった場合、新たな受取人となるのは「父の法定相続人全員」です。つまり自分の子どもだけでなく、自分の母親や兄弟にも保険金が分配されてしまいます。
2-2.それぞれの保険金の受取額はどう決まる?
「保険金受取人の法定相続人全員が保険金の受取人」となった場合、それぞれの受取額は平等の割合となります。
民法の法定相続分とは別の割合となりますので、法定相続人が多ければ多いほど揉めやすいというデメリットがあります。
保険契約者は自身の結婚や親族の死亡など、人生の節目には受取人の名義の確認をしておくことが大切といえるでしょう。