相続税申告における土地の評価というと、次の2つの方法が代表的です。
① 路線価×地積(路線価方式)
② 固定資産税評価額×倍率(倍率方式)
一般的には相続税申告における土地の評価は上記2つの評価方法に基づいて行われます。これは財産評価基本通達という、国税庁が財産の評価に関する取扱い方法の全国的な統一を図るために、定めたものであり、強制的にこの方法を使用しなければならないということはありません。
不動産鑑定評価で相続税の申告
そこで出てくるのが「不動産鑑定評価」です。不動産評価の専門家で国家資格者である不動産鑑定士が、国土交通省等により発表されている「不動産鑑定評価基準」を用いて、不動産の時価を算出する方法です。
財産評価基本通達による評価方法は、一般的な評価方法を記載したものであるため、特殊なケースを想定した詳細な評価方法までは記載されていません。そこで財産評価基本通達では評価を下げることが難しいような特殊な土地でも、不動産鑑定士による評価を行えば、大幅に評価を下げることが可能な場合は、不動産鑑定評価で申告することがあるのです。
ただし、不動産鑑定評価を行ったからといって、必ず相続税評価額よりも低く評価できるわけではなりません。あくまで、財産評価基本通達に従って評価した相続税評価額よりも、低い時価となることが予想される特殊事情がある場合に、不動産鑑定評価を行い、相続税を節税することが可能となります。
相続税申告においては、土地の評価額によって大きく相続税の額が異なります。土地をお持ちの方は、路線価や固定資産税評価のみならず、不動産鑑定評価で減額の余地があるのかを検討してみるといいでしょう。