借地権の評価は、非常に判断が難しい論点です。このためパターンを類型化し、各事例ごとにあてはめて検討する必要があります。権利金の支払の事実を確認できない場合には、支払っている地代の金額によって借地権の評価額が変わります。以下、借地権の重要な判断ポイントを解説します。
「個人」と「法人」
まず借地人と地主が「個人」であるのか「法人」であるのかによって4類型に区分されます。
①地主「個人」で借地人「個人」
相続税申告の実務上はこのケースが一番多いと考えられます。
②地主「個人」で借地人「法人」
社長の土地の上に、同族会社の建物が建っているようなケースです。
③地主「法人」で借地人「個人」
会社の土地の上に、社長所有の建物が建っているようなケースです。
④地主「法人」で借地人「法人」
親会社の土地の上に子会社所有の建物が建っているようなケースです。
実務上は、この4類型のうち、大半が①、次に②と続き、③や④は頻度が少ない事例となります。
使用貸借契約について
①固定資産税等相当額
税務上、土地の場合であれば固定資産税等相当額程度の負担であれば使用貸借契約であると考えられます。これは固定資産税を判断の絶対値と考えるのではなく、固定資産税等相当額程度であれば仮に固定資産税の額を上回っていたとしても使用貸借と考える点に注意が必要です。
②判断時期について
昭和48年11月1日に「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」の個別通達が公開されたため、これよりも前に借地を行っている場合には、例え使用貸借であっても借地権を認識する可能性があることに留意する。
③使用貸借は特殊関係者間で成立
実務上、使用貸借契約が第三者との間で成立することは稀であり、通常は親子・親族間等の特殊関係者間において成立するものと考えられます。