一団の工場用地で地積がおおむね5万㎡以上の土地を大規模工場用地といいます。
この大規模工場用地の相続税評価は、路線価方式又は倍率方式によって行いまが、その際に用いる路線価や評価倍率の設定方式は、一般の宅地とは若干異なります。そこで、以下では、その設定方式について解説します。
大規模工場用地とその相続税評価について
大規模工場用地とは、一団の工場用地で地積が5万㎡以上の土地を言います。ここで、
一団の工場用地とは、工場、研究開発施設等の敷地の用に供されている宅地及びこれらの
宅地に隣接する駐車場、福利厚生施設等の用に供されている一団の土地が該当します。
なお、工場用地が道路や河川等によって分離されているときは、分離されている一団の用地ごとにその相続税評価を行います。
大規模工場用地の相続税評価は、評価対象工場用地に路線価が設定されている場合には、路線価方式によって行い、評価対象工場用地に路線価が設定されていない場合には、倍率方式によって行います。
ただし、評価対象工場用地の地積が20万㎡を超える場合には、路線価方式又は倍率方式で
評価した評価額に0.95を乗じた価額が、その相続税評価額となります。
大規模工場用地の路線価及び倍率について
大規模工場用地が路線価設定地域に所在する場合には、その相続税評価は路線価を用いて行うことになるわけですが、その場合は、正面路線価に評価対象地の地積を乗じて評価額を計算することになります。
その際使用する正面路線価は、路線価が設定される宅地が長方形又は正方形の形状で、地積がおおむね5万㎡、その路線のみに接しているという条件で、算定される価額となります。
一方、大規模工場用地が路線価の設定されていない地域に所在する場合には、その相続税評価は、倍率方式を用いて行うことになるわけですが、その際に用いる倍率は、評価対象地が、その評価額に最も影響を与える路線のみに接するものとし、形状が長方形又は正方形、地積がおおむね5万㎡として、算定される率となります。
大規模工場用地用の路線価及び倍率を確認するには
評価しようとする大規模工場用地に路線価が設定されているかどうかは、国税庁のHPで公開されている財産評価基準書中の路線価図から確認することができます。
また、路線価が設定されていない地域にある大規模工場用地の評価に用いる評価倍率は、同じく国税庁のHPで公開されている財産評価基準書の中の評価倍率表(大規模工場用地用)から確認することができます。
なお、評価倍率表は、一般の土地等用と大規模工場用地用とゴルフ場用地等用の3種類がありますから、誤って、一般土地等用の評価倍率表等を用いないようにしなくてはなりません。
【財産評価総則基本通達第2章22-3】(大規模工場用地の路線価及び倍率)
22≪大規模工場用地の評価≫の「路線価」及び「倍率」は、その大規模工場用地がその路線(倍率を定める場合は、その大規模工場用地の価格に及ぼす影響が最も高いと認められる路線)だけに接していて地積がおおむね5万平方メートルのく形又は正方形の宅地として、売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基に国税局長が定める。(平3課評2-4外追加、平11課評2-2外改正)【財産評価総則基本通達第2章22-2】(大規模工場用地)
前項の「大規模工場用地」とは、一団の工場用地の地積が5万平方メートル以上のものをいう。ただし、路線価地域においては、14-2≪地区≫の定めにより大工場地区として定められた地域に所在するものに限る。(平3課評2-4外改正)
(注) 「一団の工場用地」とは、工場、研究開発施設等の敷地の用に供されている宅地及びこれらの宅地に隣接する駐車場、福利厚生施設等の用に供されている一団の土地をいう。なお、その土地が、不特定多数の者の通行の用に供されている道路、河川等により物理的に分離されている場合には、その分離されている一団の工場用地ごとに評価することに留意する。