相続税評価における純農地の範囲

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相続税評価上で純農地に該当する農地を相続した場合には、その評価は評価対象地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる方法で評価額を定める評価倍率方式で行います。
では、純農地には一体どのような農地が該当するのでしょうか。以下で解説します。

財産評価基本通達における純農地の範囲について

財産評価基本通達第2章第3節36(純農地の範囲)において、以下のいずれかに該当する土地が純農地に該当すると規定されています。
(1) 農用地区内にある農地
(2) 市街化調整地区内にある農地のうち、第1種農地又は甲種農地に該当するもの
(3) (1)(2)に該当する農地以外で、第1種農地に該当するもの

(3)については、第1種農地に該当しても、近傍農地の売買実例、精通者意見価額等に照らし、第2種農地又は第3種農地に準ずる農地と認められる場合には、相続税評価において純農地として取り扱うことはできません。

また、上記(1)~(3)に該当する場合にも、以下の要件に該当する場合には、市街化農地に該当することになりますので、純農地として相続税評価を行うことはできません。
(1) 農地法第4条(農地転用の制限)又は農地法第5条(農地等の権利移動の制限)
に係る許可を受けた農地
(2) 市街化区域内にある農地
(3) 改正前の農地法第7条第1項第4号の規定により、転用許可を要しないものとして、
都道府県知事の許可を受けた農地

農用地の区分について

評価対象農地が純農地の範囲に含まれるか否かを判断する場合、農用地の区分を理解する必要がありますので、以下で解説します。

まず、農用地は以下の5つの区内に分類されます。
(1) 農用地区内農地
(2) 甲種農地
(3) 第1種農地
(4) 第2種農地
(5) 第3種農地

(1)農用地区内農地とは、市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地のことをいいます。

(2)の甲種農地とは、市街化調整区域内の土地改良事業の対象となった農地(事業施行後8年以内)等、特に良好な営農条件を備えている農地のことを言います。

(3)の第1種農地には、10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業の対象となった農地等、良好な営農条件を備えている農地が該当します。

(4)の第2種農地とは、鉄道の駅が500m以内にある等、市街化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地のことをいいます。

(5)の第3種農地には、鉄道の駅が300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地が該当します。

ちなみに、農地を宅地に転用したりする場合に必要なる農地法上の許可のスタンスは、第3種農地の場合には原則許可、第2種農地の場合には、第3種農地に立地が不可能だなどという合理的理由がある場合には許可、第1種農地、甲種農地、農用地区内農地の場合には原則不許可となっています。


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