牧場及び牧場の上に存する権利の相続税評価

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相続財産中に、牧場や牧場の上に存する権利(賃借権、区分地上権、地役権など)があると、相続税の計算の際に、それらの財産の価額を評価しなくてはなりません。この評価方法は、国税庁で出している財産評価基本通達に規定されています。以下では、この通達に基づいて牧場等の相続税評価について考えます。

牧場及び牧場の上に存する権利の相続税評価は原野に関する評価が準用される

牧場や牧場に設定された賃借権や区分地上権等についての相続税評価には、原則として
原野に関する相続税評価方法が準用されます。以下では、そのことを前提とした上で、牧場の評価単位、牧場の評価方法、牧場の上に存する権利の評価方法について、説明します。

牧場の評価単位について

財産評価基本通達の第7-2(5)において、牧場の評価単位は原野に準ずる評価単位とすると規定しています。そして、同通達第7-2(4)において、原野は1筆の原野を評価単位とする
とあります。従って、牧場の評価単位は、1筆ごとになります。

牧場の評価方法について

同通達の61では、牧場及び牧場の上に存する評価の方式は、原野及び原野の上に存する権利の評価方式を採用すると規定しています。よって、牧場等の相続税法上の評価は、基本的には原野等の評価と同様の方法により行われます。

それに従うと、牧場の相続税法上の評価方法は、まず、牧場を次の3つに区分します。
 (1)純牧場
 (2)中間牧場
 (3)市街地の牧場

純牧場及び中間牧場の相続税評価について

(1)の純原野及び(2)の中間牧場については、固定資産税評価額に国税長官がその地域の取引事例等によって定めた倍率を乗じて、牧場の相続税評価額を定めます。この方式の評価方法を倍率方式といいます。

市街地の相続税評価について

(3)の市街地の牧場の評価は、牧場が宅地であると仮定した場合のその土地の1㎡あたりの金額から、牧場を宅地に変更すると仮定した場合における1㎡あたりの造成費として地域ごとに国税長官が定めた金額を控除した単価に、地積を乗じた金額とします。この方式の評価方法を比準方式といいます。

ただし、市街地の牧場でも、その地域における取引事例等によって国税長官が定める倍率が規定されている地域では、純牧場や中間牧場と同じように固定資産税評価額に国税長官が定める倍率を乗じて、評価額を定めます。

牧場の上に存する権利の相続税評価額について

基本通達では、牧場の上に存する権利の相続税評価額についても、原野の上に存する権利の相続税評価の方法を準用すると規定しています。それに従うと、牧場の上に存する権利については、以下の3種類の権利に区分されたうえに、そのそれぞれについて評価方法が
定められています。
(1)牧場の上に設定された賃借権
(2)牧場の上に設定された区分地上権
(3) 牧場の上に設定された区分地上権に準ずる地役権

牧場の上に設定された賃借権の評価について

まず(1)の賃借権については、耕作権の評価の定めを準用します。それによると、純牧場及び中間牧場に設定された賃借権の評価額は、賃借権が設定された牧場の相続税評価額に、
財産評価基本通達別表1で定める耕作権割合を乗じた金額となります。

また、市街地牧場に設定された賃借権の相続税評価額は、その牧場が宅地などに転用される場合の離作料やその付近にある宅地の賃借権の価額を基準に算定された金額となります。

牧場の上に設定された区分地上権の評価について

牧場の上に設定された区分地上権の評価額は、通常の牧場の評価額に、区分地上権設定契約書の内容による土地利用制限率を参考にして定まる「区分地上権の割合」を、乗じた金額となります。

牧場の上に設定された区分地上権に準ずる地役権の評価について

牧場の上に設定された区分地上権に準ずる地役権については、地役権の承役地(牧場)の
通常の相続税評価額に、地役権設定契約の内容による土地利用制限率を参考にして定まる
「区分地上権に準ずる地役権評価の割合」を乗じた金額になります。


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