被相続人が家屋を所有していた場合で、家屋が相続財産になる場合には、その家屋の相続税評価が必要になります。そこで、以下では、この家屋の相続税評価について解説します。
家屋の相続税評価の方法について
家屋の相続税評価の方法は、相続財産評価基本通達88及び89に規定されています。
それによると、まず、家屋の相続税評価は、原則として、1棟の家屋を評価単位として行います。
そして、1棟の家屋の相続税評価は、評価対象家屋の固定資産税評価額に、相続財産基本通達別表第一に定める倍率を乗じた価額として算定することになっています。
この相続財産基本通達別表第一に定める率は、現在1.0ですから、結局は、1棟の家屋の相続税評価は、その家屋の固定資産税評価額によって行うこととなります。
貸家の相続税評価額について
他人に賃貸している家屋を相続した場合には、貸家の相続税評価が必要になります。
その評価は、貸家が1棟の建物である場合には、家屋の固定資産在評価額に、1から借家権割合控除した割合を乗じた価額となります。
例えば、評価対象貸家の固定資産税評価額を500万円、借家権割合を30%とした場合、当該貸家の相続税評価額は500万円×(1-30%)=350万円となります。
ちなみに、借家権割合は全国ほぼ一律に30%となっております。
さて、相続財産がアパート等の場合には、その相続税評価は、以下の計算式によります。
賃貸アパートの相続税評価額=アパートの固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
ここで、賃貸割合とは、アパートの課税時点において実際に賃貸されている独立面積の総和を、その貸付可能な独立面積の総和で除した割合のことです。
例えば、賃貸アパートの面積の等しい10室のうち、課税時点(相続開始時点)で7室が
賃貸に出されているとした場合は、賃貸割合は70%となります。
建築中の家屋の相続税評価について
被相続人が住宅を建築中に相続が発生した場合、建築中の家屋の相続税評価が必要になります。
その相続税評価は、被相続人等が建築中の家屋に対して支出した費用原価の70%相当額となります。
例えば、被相続人が住宅建築中に亡くなった場合、その建築中の住宅に相続開始時点までに支出した費用の総額が600万円だとすると、その建物の相続税評価額は420万円です。
固定資産税評価額はどうやって調べるか
家屋の相続税評価額は固定資産税評価額と一致しますから、家屋の相続税評価を行う場合には、その固定資産税評価額を把握しなくてはなりません。
固定資産税評価額は、評価対象家屋の所在地を管轄する市区町村役場の窓口でその証明書の交付を受けることで確認することができます。
なお、相続人が被相続人名義の家屋の固定資産税評価証明書の交付を受けるためには、
相続人であることを証明する戸籍謄本等や、相続人の身分証明書が必要です。
また、代理人によって当該証明書の交付を受ける場合には、委任状も必要になります。