果樹農家の方など、果樹を所有していた方に相続が発生すると、果樹の相続税評価が必要になります。その場合、その果樹の評価単位はどのようになるのでしょうか。以下では、の果樹の相続税評価単位について解説します。
果樹その他に果樹に類するものについて
相続税評価では、果樹その他果樹に類するものを果樹等といいます。果樹とは、ミカン、リンゴ、モモの木等、果物の木が該当します。果樹に類するものとは、パイナップルやパパイヤ、バナナ等果樹用の台木用植物も果樹が該当します。
また、人の飲料用である「お茶」の木や、和紙の原材料を採取するための「楮」の木、
養蚕のための飼料を採取するための「桑」の木等も、相続税評価上の果樹等に該当します。
幼齢樹と成熟樹について
相続財産評価基本通達第5章第1節98では、果樹等の相続税評価単位について規定しています。それによると、果樹その他これに類するものの価額は、樹種ごとに、幼齢樹と成熟樹の区分し、それらの区分に応ずる樹齢ごとに評価する、と規定しています。
ここで、成熟樹とは、その果樹等に支出した費用(肥料代や薬剤等の費用)と、その樹木の収穫物による収益が、均衡する程度の樹齢に達したものをいいます。どの程度の段階に達した果樹を成熟樹とするかは、その果樹の樹種ごとにことなります。
一方、幼齢樹とは、成熟樹に達しない樹木をいいます。つまり、相続税評価の対象となる
果樹等のうち、その果樹からの収支が均等する程度に成熟した果樹を成熟樹とし、そこに達するまでの段階にある樹木を幼齢樹といいます。
果樹等の相続税評価単について
果樹等の相続税評価は1本の果樹です。立木や立竹の相続税評価は、1団地の立木や、
1団地にある立竹、庭園内にある立木竹の全部など、集団的な評価単位を用いる場合がありますが、果樹等の評価単位は1本ごとに行います。
立竹木の場合には、森林の面積に一定の単価を乗じて相続税評価を行う場合がありますが、
果樹等の評価の場合には、そのような大雑把な評価は行わず、1本ずつ行います。
果樹等の相続税評価について
幼齢樹の相続税評価は、1本ごとに、植樹の時から課税時点までに要した苗木代、肥料代、
薬剤費等の現価(発生時点の価額を課税時点の価額に修正したもの)の合計額の100分の70に相当する金額によって評価します。
一方、成熟樹の相続税評価は、植樹の時から成熟時点までの期間に要した苗木代、肥料代、
薬剤費等の現価の合計額から、成熟の時から課税期間までの償却費の合計額を控除した金額の100分の70に相当する価額によって評価します。