相続税評価における標準伐期

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林業を営む者が亡くなった場合、立竹木を相続によって取得する場合があります。その場合、その取得した立竹木の相続税評価が必要になりますが、その際に重要な役割を果たすのが標準伐期ですが、以下では、これについて解説します。

立竹木の相続税評価の単位と区分について

まず、立竹木の相続税評価の単位は、森林の立木については、樹種及び樹齢を同じくする1団の立木ごとに行います。次に、庭園内にある立竹木については、その庭園内になる立竹木の全部が評価単位になります。上記以外の立木については1本単位となります。最後に、立竹については、1団地が評価単位となります。

一方、立木の相続税評価は、その生育段階に応じて、大きく3段階に区分され、そのそれぞれの区分に応じて評価方法が設定されています。その区分は、(1)標準伐期にある立木(2)標準伐期に到達していない立木(3)標準伐期を経過した立木となっています。

立木の相続税評価における標準伐期の役割について

よって、立木の相続税評価を行う場合には、まず、評価対象立木の樹種と所在地域から、
標準伐期を確認し、評価対象立木の標準伐採期を確認しなくてはなりません。ちなみに、
標準伐期は国税庁が各都道府県ごとに設定しHPで公開していますから、それを閲覧することでこれを確認できます。

例えば、東京都(多摩地区)の標準伐期は、杉55、ひのき60、松55となっています。また、京都府(由良川地区)のそれは、杉60、ひのき65、松55となっています。さらに、福岡県(筑後・矢部川地区)のそれは、杉60、ひのき60、松50となっています。

立木の相続税評価について

以下では、立木の相続税評価について、(1)標準伐期にある立木(2)標準伐期に到達していない立木(3)標準伐期を経過した立木、の3つの区分に従って、それぞれ解説していきます。

標準伐期にある立木の相続税評価

評価対象立木が標準伐期にある場合には、標準状態にある立木の売買実例価額を標準とし、原木市場や製材工場等における素材価額や精通者意見価格等を参考として決定します。

なお、標準状態とは、集材場所までの距離が約300m以下、集材場所から原木市場又は製材工場までの距離が約30㎞以内の要件を満たす場所、かつ、土地の肥沃度が標準で立木の密度が密である場所にある立木の状態のことをいいます。

標準伐期に到達していない立木の相続税評価

標準伐期に到達していない立木の相続税評価についてですが、それには(a)樹齢1年未満の立木(b)樹齢1年以上で標準状態(成熟状態)に到達していない立木(c)標準状態にある立木(d)標準状態を経過し、標準伐期に到達していない立木の4つの評価区分が
あります。

まず、(a)樹齢1年未満の立木の場合には、その立木の苗代、や苗の運搬費用、地ごしらえ費用、植付費、肥料代金の一部等の合計額の70%をその相続税評価額とします。

次に、(c)標準状態にある立木の評価額は、その売買実例価額を基本として、精通者意見価額、原木市場や製材工場における素材価額を参考として決定した評価額となります。

(b)の樹齢1年以上で標準状態(成熟状態)に到達していない立木の評価額は、評価対象立木に投下された費用の合計額や、支給された補助金の額、標準状態に達するまでの年数等を考慮して計算される評価額となります。

(d)標準状態を経過し、標準伐採期に到達する前の立木の相続税評価は、標準伐期における立木の評価額、標準状態における立木の評価額、標準伐採期までの年数等を考慮して計算される評価額となります。

標準伐期を経過した立木の相続税評価

標準伐期を経過した立木については、樹齢が標準伐期の2倍以内のものについては、標準伐期の立木の評価額を、(樹齢-標準伐期)年を年2%の複利運用した場合の終価を基にしてその評価額とします。一方、樹齢が標準伐期の2倍を超える立木の評価については、事情精通者意見を斟酌して定める価額が、その評価額となります。


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