立木を相続によって取得した場合には、その立木の相続税評価が必要になります。
では、相続によって取得した立木が、都市緑地法等で定める特別緑地保全区域内に所在する場合は、その相続税評価において何か特別な方法を用いることはあるのでしょうか。以下で解説します。
特別緑地保全区域内にある立木の相続税評価について
特別緑地保全区域内にある立木の相続税評価の方法は、財産評価基本通達第5章第2節(123-2)「特別緑地保全地区内にある立木の評価」によって規定されています。
それによると、特別緑地保全区域内にある立木の相続税評価額は、通常の立木の相続税評価額から、その価額に80/100を乗じた計算した価額を控除した価額となります。
ここで、通常の立木の相続税評価とは、同通達第5章第2節(113)「森林の主要樹木の立木の評価」、同じく(117)「森林の主要樹木以外の立木の評価」、同じく(122)「森林の立木以外の立木の評価」の規定に従って行う評価のことです。
つまり、特別緑地保全区域内にある立木の相続税評価額は、通常の立木の相続税評価額の20%の価額になります。
特別緑地保全区域内にある立木の相続税評価額の計算例について
例えば、東京都・多摩地区の森林にある樹齢55年(標準伐期)の杉林5ha(ヘクタール)を相続で取得したとします。
この場合、林業地帯が東京都多摩地区の標準伐期にある杉の標準価額は390千円/haで、
地味級、立木度、地利級による調整を考慮しないとすると、当該立木の相続税評価額は、
390千円/ha×5ha=195万円となります。
しかし、当該森林が、特別緑地保区域内にあるとすると、その評価額の80/100が控除されますので、その場合の相続税評価額は、195万円-195万円×80%=39万円となります。
特別緑地保全区域とは何か
特別緑地保全地区とは、都市計画において決定される地域地区の1つで、都市計画区域内の緑地で、無秩序な市街化の防止のために必要な遮断地帯として適切なものなどの区域について指定されるものです。
具体的には、以下に該当するものが特別緑地保全区域となります。
(1)都市緑地法第12条に規定する特別緑地保全地区
(2)首都圏近郊緑地保全法第4条第2項第3号に規定する近郊緑地特別保全地区
(3)近畿圏の保全区域の整備に関する法律第6条第2項に規定する近郊緑地特別保全地区
ちなみに、特別緑地保全地区内にある山林(土地)の相続税評価も、林業を営むために立木の伐採が認められ、かつ、純山林に該当するものを除き、通常の方法で計算した山林の相続税評価額から、その価額に80/100を乗じた価額を控除した価額が、当該山林の相続税評価額となります。