ここでは、たな卸商品等の評価単位と評価方法について説明します。財産評価基本通達では、あらゆる事例に対応できるように、さまざまな財産の評価方法が定められています。たな卸商品等の評価は、一般家庭の相続ではあまり必要にはなりませんが、個人事業の承継や非上場会社の株式の相続では必要になることがあります。
1.たな卸商品等の評価単位
たな卸商品等とは、商品、原材料、半製品、仕掛品、製品、生産品とその他これらに準ずる動産(貯蔵品、消耗品、副産物、仕損品、作業くずなど)をいいます。たな卸商品等の価額は、「商品」、「原材料」、「半製品及び仕掛品」、「製品及び生産品」の区分に従い、それぞれの区分の中で種類や品質等がおおむね同一であるものごとに評価します。
2.たな卸商品等の評価方法
たな卸商品等の価額は、次の区分ごとに定められた方法で評価します。なお、不動産事業者が販売のために所有する土地や家屋、立木仲買業者や素材業者が所有する立木等でたな卸資産にあたるものも、次の方法を準用して評価します。
(1) 商品
商品とは、経済活動において生産、流通、交換される物財をいいます。たな卸商品とは、外部から仕入れたものを指すのが一般的で、自ら製造したものは製品として区分します。商品の価額は、次の算式によって評価します。
商品の価額=販売価額-適正利潤-予定経費-消費税額
(2) 原材料
原材料とは製品を作るための主要材料であり、まだ使用されていないものをいいます。原材料の価額は、次の算式によって評価します。
原材料の価額=仕入価額+原材料の引き取りに係る経費(運賃等)
(3) 半製品及び仕掛品
半製品とは製造途中にある製品のうち、一定の工程まで製造が進んでいて、その半製品自体を単体で販売、保存することが可能であって、時間が経過しても品質が維持できるものをいいます。仕掛品とは製造途中にある製品のうち、原材料を少しでも加工しているものをいいます。半製品とは異なり、仕掛品自体を単体で販売することは見込めません。半製品及び仕掛品の価額は、次の算式によって評価します。
半製品及び仕掛品の価額=原材料の仕入価額+原材料の引き取りに係る経費(運賃等)+加工費
(4) 製品及び生産品
製品とは原材料を加工して作られた完成品をいい、製品はそのまま商品として扱うことが一般的です。生産品とは、最終的に出荷できる状態になった農水産物をいいます。製品及び生産品の価額は、次の算式によって評価します。
製品及び生産品の価額=販売価額-適正利潤-予定経費-消費税額
【財産評価基本通達】
(評価単位)
132 たな卸商品等(商品、原材料、半製品、仕掛品、製品、生産品その他これらに準ずる動産をいう。以下同じ。)の価額は、次項の(1)から(4)までの区分に従い、かつ、それぞれの区分に掲げる動産のうち種類及び品質等がおおむね同一のものごとに評価する。