現在は登録銘柄・店頭管理銘柄の株式はありませんが、財産評価基本通達174から177-2までには、登録銘柄・店頭管理銘柄の株式に関する規定があります。ここでは、登録銘柄・店頭管理銘柄の株式について課税時期のある月以前の3か月間に権利落ちがあった場合の評価方法について説明します。
1.登録銘柄・店頭管理銘柄の株式の評価方法
相続財産に登録銘柄・店頭管理銘柄の株式が含まれている場合、その価額は次のいずれかの価額のうち、最も低いもので評価します。
・ 課税時期(被相続人が亡くなった日または贈与を受けた日)の取引価格
・課税時期のある月の毎日の取引価格の平均額
・課税時期のある月の前月の毎日の取引価格の平均額
・課税時期のある月の前々月の毎日の取引価格の平均額
取引価格は日本証券業協会が公表するもので、高値と安値が公表されている場合はその平均額とします。ただし、負担付贈与や個人間の売買で取得したものは、課税時期の取引価格で評価します。
2.課税時期以前の3か月間に権利落ちがある場合
株式の売買から受け渡しまでには、数日間の期間が必要です。新株の割当ての場合は、権利の確定に間に合う最終売買日は、新株割当ての基準日よりも前になります。その翌日になると権利の確定には間に合わなくなり、その状態を権利落ちといいます。
課税時期のある月以前の3か月間に権利落ちがあった場合は、月ごとの取引価格の平均額の算出方法について特例が定められています。
(1) 課税時期が株式の割当ての基準日以前である場合
権利落ちの日がある月の取引価格の月平均額はその月の初日から権利落ちの日の前日までの毎日の取引価格の平均額とします。ただし、権利落ちの日が課税時期のある月の初日以前である場合を除きます。
(2) 課税時期が株式の割当ての基準日以前で、権利落ちの日が課税時期のある月の初日以前である場合
課税時期のある月の取引価格の月平均額は、次の算式のとおり計算します。
(算式)
課税時期のある月の取引価格の月平均額×(1+株式1株に対する割当株式数または交付株式数)-割当てを受けた株式1株につき払い込むべき金額×株式1株に対する割当株式数
(3) 課税時期が株式の割当て等の基準日の翌日以後である場合(その1)
権利落ちの日がある月の取引価格の月平均額は、権利落ちの日からその月の末日までの毎日の取引価格の平均額とします。
(4) 課税時期が株式の割当ての基準日の翌日以後である場合(その2)
権利落ちの日がある月の前月以前の各月の取引価格の月平均額は、次の算式のとおり計算します。
(算式)
(その月の取引価格の月平均額+割当てを受けた株式1株につき払い込むべき金額×株式1株に対する割当株式数)÷(1+株式1株に対する割当株式数または交付株式数)
【財産評価基本通達】(気配相場等のある株式)
(登録銘柄及び店頭管理銘柄の取引価格の月平均額の特例)
177-2 174≪気配相場等のある株式の評価≫の(1)の定めにより登録銘柄及び店頭管理銘柄の価額を評価する場合において、課税時期の属する月以前3か月間に権利落等がある場合における取引価格の月平均額については、172≪上場株式についての最終価格の月平均額の特例≫の定めを準用する。この場合において、「最終価格の月平均額」は「取引価格の月平均額」と、「毎日の最終価格の平均額」は「毎日の取引価格の平均額」と読み替えるものとする。(平2直評12外追加・平18課評2-27外改正)
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