交通事故によって被害者が死亡してしまった場合、加害者側から損害賠償金が支払われることをご存知の方も多いでしょう。ここではもう少し詳しく、受け取った(もしくは受け取る予定だった)損害賠償金と相続税の関係について解説していきます。
あまり身近なことではないので、所得税法、所得税法施行令、国税庁の見解などを分かりやすくまとめてあります。交通事故における損害賠償金と相続税の関係がどのようになっているか、概要を知る上で参考になるのではないでしょうか。
なお保険会社と警察では、交通死亡事故と認定する期間に大きな差があります。こういった現状を考え合わせて、損害賠償金の課税・非課税について不明な部分がある場合は、お近くの税務署に問い合わせることをおすすめします。
~目次~
交通死亡事故の損害賠償金と相続税の関係について
交通死亡事故の損害賠償金と相続税の関係は法的にはどのようになっているのでしょうか。ここでは所得税法での扱いなどを交えて、それを見ていくことにしましょう。
(1)所得税法における損害賠償金
交通死亡事故の際に加害者側から支払われる損害賠償金は、被害者遺族の所得という性質を持ってはいますが、 所得税法における非課税所得に関する第九条で、「損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金」について、「突発的な事故により資産に加えられた損害」が原因で支払われたものは非課税と規定されているため、相続税の課税対象には含まれません。「対人賠償保険金」と「対物賠償保険金」のふたつがこれに該当し、どちらも金額に関係なく非課税となります。
(2)所得税法施行令と国税庁の見解
また、所得税法施行令の第三十条「損害保険契約に基づく保険金」においても、「心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金」については非課税と規定されています。
ただし国税庁のホームページでは、交通事故の被害者が損害賠償金を受け取ることが決まっていたのに、受け取る前に死亡したとき、損害賠償金を受け取る権利が相続税の対象とされることがあげられているので、この点には留意しておく必要がありそうです。
(3)被害者が加入していた保険
交通死亡事故で遺族が受け取る保険金には、 損害賠償金の他に、被害者が加入していた保険から支払われる
ものがありますが、これについては遺族など保険金を受け取る人と、保険料を支払っていた人との関係を勘案して、相続税、所得税、贈与税など課税の対象になるで覚えておいたほうが良いでしょう。
(4)保険会社と警察の交通死亡事故認定の違い
現在、保険会社は交通事故発生日を含め180日以内に被害者が死亡した場合を、死亡保険金・後遺障害保険金の給付対象としているようです。
これに対して警察が死亡事故として記録するのは、交通事故が発生してから24時間以内に被害者が死亡したときのみです。このような違いがあること覚えておくと万が一の時に役立つかもしれません。