相続した山林の納税猶予が認められる
特定森林経営計画に定められている区域にある山林を、遺贈または相続した相続人は、一定の要件を満たしている場合に納税猶予が与えられることがあります。特定森林経営計画とは、山林の経営規模拡大の目標を定め、そのために必要な整備を進めるもので、市町村長等の認定を受けた森林経営計画です。
この納税猶予が認められると、その山林についての相続税額の80%を納税猶予してもらえます。猶予された納税額は、条件が満たされていれば継続することができ、後継者である相続人が死亡した場合には、それまで猶予されてきた相続税の全額が免除されます。
納税猶予が受けられる要件
この猶予を受けるには、被相続人である山林経営者と、その後継者である相続人とが森林経営計画に基づいた森林経営をしていることが必要です。さらに被相続人と相続人それぞれに必要な要件があります。
被相続人の要件
被相続人の主な要件としては、特定森林経営計画が定められている区域内に所有している山林の作業路網を含めた部分の面積が100ヘクタール以上あって、森林経営計画に従って規模を拡大し整備してきたことについて、農林水産大臣の確認を受けている必要があることなどがあります。
相続人の要件
また、相続人も被相続人の後継者として森林経営計画の対象になっている森林のすべてについて相続していて、森林経営計画の実行について農林水産大臣の確認を受けていることなどが必要です。
手続きの期限と必要書類など
この制度を利用するには相続税の申告期限である、被相続人が死亡した日の翌日から10カ月以内に申告手続きを行う必要があります。その際には、市町村長や農林水産大臣の証明書、森林経営計画の計画書や認定通知書の写しなどの必要書類も添付しければなりません。また、納税が猶予される相続税額と利子税額に見合う担保を税務署に提供しなればなりません。
条件が認められる限り猶予は継続できる
その後は、当初の10年間は1年ごと、その後は3年ごとに継続届出書を税務署に提出する必要があります。ただし、森林経営計画の認定が取り消されるなど、条件に合わなくなった場合には、納税猶予が取り消されます。
そして、後継者が死亡した場合は、免除届けを提出することによって、猶予されていた相続税額の全額が免除されることになります。