被相続人から相続する財産として多いのが、住宅などの不動産でしょう。これら不動産についても、相続税の申告期限までに評価額を算出して納税額を算出する必要があります。しかし、もしその財産の価値が大きく下がるような災害などが行った場合、評価額はどう計算することになるのでしょうか?
残念ながら、相続税の財産評価については、「相続開始日」を基準とするのが原則です。つまり、いまは焼失してなくなっているとしても、相続開始日に存在していれば、その時の評価額を相続税の課税対象額として計算する必要があるのが原則ということになります。
しかしそれでは、被災者への負担が大きくなってしまうため、救済する制度が定められています。
災害減免法
「災害減免法」というのは、相続または遺贈によって取得した財産が、災害によって被害を受けた場合に相続税が控除(免除)される制度です。ただし、この控除を受けるためには、以下の条件を満たしておかなければいけません。
・災害によって被害を受けた財産が、相続税の課税対象になっていること
・災害によって被害を受けた部分の価額(保険金や賠償金などで補填された場合は、被害額から控除すること)が、その財産の評価額全体の10分の1以上を占めていること
(1)申告期限前に災害に遭った場合
相続税の申告期限前に災害に遭って災害減免法が適用された場合、災害によって被害を受けた部分の価額を課税価額から控除して相続税を計算し直し、相続税を申告することになります。もちろん、保険や賠償金などで補填された場合はその金額は控除されませんので、注意してください。
なお、相続税の申告書に被害の状況や被害額などの詳細を記載しておく必要があります。
(2)申告期限後に災害に遭った場合
相続税の申告期限後に災害にあった場合は、災害によって被害を受けた部分の価額(保険や賠償金などで補填された金額を除くこと)に相当する相続税額について、納税を免除してもらえます。
なお、免除の申請については、災害が収まった日から2ヶ月以内に、納税地の所轄税務署長へ申請書を提出しなければいけません。この申請書に、被害状況や被害額などを記載しておくことになります。
ただし、ここで免除されるのは、納付期限までに納めなければいけなかった相続税のみですので、納付期限までに納めきれなかったことによる延滞税や利子税については免除されませんので、注意が必要です。
【参考】
国税庁 タックスアンサー No.8006 災害を受けたときの相続税の取扱い