相続財産の中で不動産と並んで高額であることが多いのが有価証券です。有価証券には株式会社が資金調達のために発行する株式や社債、国が発行する債券である国債、地方公共団体が発行する債券である地方債があります。
1.新株予約権付社債とは
新株予約権付社債は、株式会社が発行する社債の一種で、新株予約権の付いた社債のことです。ワラント債ともいわれています。
普通社債は期日が到来すると利息を付けて償還されますが、新株予約権付社債の場合は社債だけではなく、一定の権利が付けられています。その権利は、その会社が発行する株式を決められた一定価格で買い取ることができる権利で、新株予約権もしくはワラントといいます。
一般的に債券には償還期間が定められていて、満期が到来するまで保有していれば普通の債権になります。もし株価が高くなれば、権利を行使して株式を買い取ることができます。
そして、その株式を売却してキャピタルゲインを得ることができるため、リスクが低い投資商品といえます。
2.新株予約権付社債の種類
新株予約権付社債は、次の3つの種類に分類されます。
(1)転換社債型新株予約権付社債
新株予約権を行使するときに、払込をする代わりに社債の全額が償還されるというタイプです。
(2)非分離型ワラント債
社債券いわゆるクーポンと新株予約権が分離することができないタイプで、カムワラントともいわれています。
(3)分離型ワラント債
以前は社債部分と新株予約権とを分離することができるものを分離型ワラント債と呼んでいました。ところが、法律の改正により現在では新株予約権付社債ではなく、新株予約権と普通社債をいっしょに発行するという方法で処理されるようになりました。
3.新株予約権付社債の相続税評価について
新株予約権付社債は、原則として相続税評価は時価を基準に計算します。ただし、金融商品取引所に上場されているかどうかによって、時価の判断基準は異なってきます。上場されているのであれば取引価格は簡単にわかりますので、相続した時の価格がそのまま相続税評価となります。これに対して、相続した時に上場されていないのであれば、過去において相続した時に一番近い価格で評価します。
もっとも金融商品取引所に上場されていなくても、店頭で売買されていれば日本証券業協会において店頭転換社債として登録されていることがあります。そのような場合は、日本証券業協会にて公開されている価格を参考にして相続税評価とします。もし取引が成立していないのであれば、相続した時に一番近い最終の価格を基準とします。
どうしても基準となる価格がなければ、株式に転換した際の金額と債券の金額を比較して高い方を相続税評価にします。
なお、債券としての評価をする場合は、一般債券と同様に価格、経過償還差益、経過利息から算出します。株式の参考価格は、マーケットで公開されている価格となります。