1.他社株転換債(EB債:エクスチェンジャブル・ボンド)とは
他社株転換債(EB債:Exchangeable Bondエクスチェンジャブル・ボンド)とは、債券でありながらも他社の株式に転換する条件のついたものを指します。発行した会社の株式ではなくて、別の会社の株式に転換できるという点で一般的な転換社債とは異なります。1998年の証券取引法改正に伴い、販売が開始された金融商品です。高利回りが注目され、多くの証券会社が扱ったEB債ですが、投資会社の不正な株価操作や、EB債の複雑な仕組みを個人投資家に説明せずに販売したなどとして、証券取引等監視委員会が調査を行った背景があります。
他社株転換債は特定の上場銘柄株の値動きにより、償還条件が変わる債券です。その特徴から、通常の債券よりクーポンレートが高く、高利回りとなっています。他社株転換債の満期日に、特定の上場銘柄株が設定水準より高いとき、元本と利息が現金で償還されます。対して、株価が設定水準より低いとき、対象の株式で償還されます。
債券の一種として考える事もできますが、実際には債券を保有しながらプットオプションの売りを持っているものだと考えられます。債券の発行者がプットオプションの買い手であり、EB債の保有者がプットオプションの売り手です。プットオプションを売るわけですから、リスクプレミアム分だけ高金利となっています。株価が下落した場合には元本割れでの償還となることにも理解が必要です。
2.他社株転換債(EB債:エクスチェンジャブル・ボンド)の相続税評価
他社株転換債(EB債)の相続税評価についてですが、もしも債券として償還が行われることが確定しているのであれば、一般的な債券と同じように相続税評価することになります。また、株式での現物償還が確定している場合には、引き渡しを受ける事のできる権利を含めて計算をすることになります。
相続税の課税時期にどの形で償還されるのかが決まっていない場合には、基本的には債券と同じように相続税評価をすることになりますが、株式の評価額を用いて計算しても良いことになっています。これがもっとも評価としては正しいと考えられるからです。