相続する財産は、不動産や預貯金、証券、貴金属などだけではありません。年金を受け取る権利や債権、会員権などのいろいろな権利もその対象となるのです。
財産評価基本通達211には、財産としてゴルフ会員権を評価する方法の規定があります。つまり、ゴルフ会員権は相続財産として相続税の課税対象となっているわけです。
しかし、すべてのゴルフ会員権を相続財産として評価しなければならないわけではありません。ゴルフ会員権の特性や条件によっては、相続税評価の対象にならないゴルフ会員権もあるのです。
詳しく解説していきましょう。
1.財産としてのゴルフ会員権
バブル期であれば非常に高額で、財産としての体を保っていたゴルフ会員権ですが、バブル崩壊とともに価格が下落して投資対象としての魅力がなくなり、今ではそれほど高額なイメージもなくリーズナブルなものも増えています。しかし、財産評価基本通達においてしっかりと規定されていますので、相続財産になることは確かなものです。
ただし、ゴルフ会員権だというだけで相続財産になるわけではありません。財産として評価される会員権には、財産としての価値を認められる条件があるのです。
(1)取引相場のあるゴルフ会員権
会員制のゴルフ場利用権で、投資や投機の対象として市場価格がついているものです。市場価格があるので、当然ながら相続財産として評価されます。中には、保障金を納めて会員になっているため、その返還請求を行うことができるものもあります。その場合は、その権利についても財産評価の対象になるため、気を付けなければいけません。
(2)取引相場のないゴルフ会員権
株主でなければ会員になれない会員権や、預託金を納めなければ会員になれない会員権です。これらは、会員権自体を相続するというよりも、株式の相続や預託金を請求できる権利を相続するという意味で、相続評価の対象となります。
2.相続税評価の対象とならないゴルフ会員権
上記のように、ゴルフ会員権は相続財産として評価されるものです。しかし、中にはそうならないものも存在しています。最初から相続財産として評価できないものや、評価する価値がなくなってしまったものなど、以下に該当するようなゴルフ会員権は、相続税の対象にはなりません。
・ゴルフ場でプレーするためのみ
・会員になるために株式の所有を必要としない
・会員権を譲渡することができない
・返還される預託金等がない
・ゴルフ場が倒産して、プレーすることができない
【参考】
国税庁 タックスアンサー No.4647 ゴルフ会員権の評価
国税庁 財産評価基本通達211(ゴルフ会員権の評価)
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