特別夫婦年金保険に係る課税関係

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「特別夫婦年金保険」というのは、郵政民営化前にかんぽ生命が展開していた年金給付型保険です。この保険は年金給付型保険としては珍しい形態の保険で、そのために課税関係についても少し違っています。
詳しく説明していきましょう。

なお、残念ながら「特別夫婦年金保険」は、郵政民営化(平成19年10月)以降、新規の加入はできません。

1.特別夫婦年金保険

まずは、特別夫婦年金保険について、解説します。
特別夫婦年金というのは、配偶者の一方が死亡することで、年金の支給が開始されるものです。具体的には、以下のような契約になっています。

・夫婦のうちの一方が保険契約者(主たる被保険者)となり、もう一方が「配偶者たる被保険者」になる
・夫婦のうちの一方が死亡した日から、生存している者に年金を支払う。(ただし、年金支払開始年齢に達してから)
・支払いは一定の期間(保証期間)中
・年金を受給している生存配偶者が保証期間中に死亡した場合、相続人に継続年金が支払われる

つまり、夫婦のどちらかが死亡した場合、生きている人に年金が支払われるというものです。

2.特別夫婦年金保険の課税関係

特別夫婦年金の課税については、基本的に死亡保険金や死亡退職手当などと同様になります。つまり、以下の表を参考に考えればいいでしょう。(AとBが夫婦とします)

被保険者 保険料負担者 受取人 税金
A B B 所得税
B B A 相続税

つまり、受取人が保険料を払っているかどうかで、税の種類が変わるわけです。

(1)年金支払開始年齢前の場合

すでに年金支払開始年齢に達したあとに配偶者が死亡した場合は、上記の表の通りとなります。しかし、まだ年金支払開始年齢に達していない場合は、少し違ってきます。
この場合は、配偶者が死亡した時点と、実際に年金が支給された時点で分けて考えなければいけません。

・配偶者の死亡時点

被保険者 保険料負担者 受取人 税金
A B B 課税なし
B B A 相続税

 

・年金支給時点

被保険者 保険料負担者 受取人 税金
A B B 所得税
B B A 所得税

 

(2)年金受給者が保証期間中に死亡した場合

年金受給者が死亡しても、保証期間中であれば、残りの期間の年金を受け取る権利は、年金受給者の相続人に相続されます。(継続年金)
そのため、この場合の課税関係についても、確認しておかなければいけません。

年金受給者の相続人には、年金受給者から「保証期間付き定期金に関する権利」を相続したとして、相続税が発生します。これは、死亡した年金受給者(被相続人)が、実際に特別夫婦年金保険の保険料を支払っているかどうかは考慮されません。


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