税制上で角地における宅地の評価価額は、後に述べる「広大地の場合」を除けば、「正面路線の1平方メートル当たりの路線価」と、「正面路線以外の路線(側方路線)の路線価により算出した金額に側方路線影響加算率表で定める加算率を掛け算して得られた1平方メートルあたりの加算額」とを足し算して、その合計額に土地の面積を掛け算したものを評価価額とします。
これは、道路が2方向に面していることで土地が受ける利益の点を、税制上で資産価値として評価する為です。
ここで、該当する宅地が「一部のみ側方路線に接している」場合には、「土地全体の側面距離に占める側方路線に接している距離の割合」の分のみ側方路線価影響加算分を算出して加算することになります。
不整形地の場合の計算例
不整形地については、その評価時の価額計算手法が次のように定められています。
(1)不整形地をいくつかの整形地に区分して評価して、その合計を求める方法。
(2)整形地の地積を間口距離で割り算して、計算上の奥行距離を算出し、それを基にした整形地として計算する方法。
(3)不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」)を図面上で設定して、その設定した近似整形地を基にして計算する方法。
(4)まず近似整形地を求め、更に隣接する整形地を評価する宅地の一部と仮定した整形地とし、全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する評価する宅地の一部と仮定した整形地の価額を引き算した価額を基に計算する方法。
側方路線影響加算の計算例-不整形地の場合
不整形地が画地に該当する際に、側方路線影響加算の計算例-不整形地の場合として「計算例(2)計算上の奥行距離」を使用した場合の国税庁が想定する評価方法は、次の手順になります。
まず、正面路線、側方路線を選定した上で、各々について計算上の奥行距離を算出します。
[正面路線側の計算上の奥行距離]=[不整形地の面積]÷[正面路線の間口距離]
[側方路線側の計算上の奥行距離]=[不整形地の面積]÷[側方路線の間口距離]
これを奥行補正率表からそれぞれに該当する補正率を選び、路線価に掛け算して補正した路線価を算出します。
次に、側方路線影響加算額の計算を行います。側方路線側の補正した路線価に、「側方路線影響加算率表から得られる加算率」と、必要があれば「土地全体の側面距離に占める側方路線に接している距離の割合」とを掛け算して、側方路線影響加算額を算出します。
そして、正面路線価と側方路線影響加算額を足し算した値を、この不整形地の1平方メートルあたりの評価額とします。
最後に不整形地補正率表を用い、かげ地の割合から該当する不整形地補正率を選びます。
かげ地の割合は
[かげ地の割合]=([想定する整形地の面積]-[不整形地の面積])÷[想定する整形地の面積]
で求めることができ、その値から不整形地補正率表の中の該当する不整形地補正率を求めます。
こうして算出した各値を使用して
[不整形地の1平方メートルあたりの評価額]×[不整形地の面積]×[不整形地補正率]
を計算することで、不整形地に側方路線影響加算が存在する場合の評価価額が算出されます。
評価する土地が広大地に該当する場合
尚、評価を行う不整形地が広大地に該当する場合には、税制上の広大地の評価方法として「正面路線価」に「広大地補正率」と「土地の面積」を掛け算して土地の評価価額を算出します。この際には「側方路線影響加算額」や「不整形地補正率」は使用しないという点への注意が必要です。
【財産評価総則基本通達第2章20】(不整形地の評価)
20 不整形地(三角地を含む。以下同じ。)の価額は、次の(1)から(4)までのいずれかの方法により15≪奥行価格補正≫から18≪三方又は四方路線影響加算≫までの 定めによって計算した価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、付表4「地積区分表」に掲げる地区区分及び地積区分に応じた付表5「不整形地補正率表」に定める補正率(以下「不整形地補正率」という。)を乗じて計算した価額により評価する。(昭45直資3-13・昭47直資3-16・昭57直評22・平3課評2-4外・平11課評2-12外・平12課評2-4外改正)
(1) 次図のように不整形地を区分して求めた整形地を基として計算する方法
(2) 次図のように不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法
(注) ただし、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形又は正方形の土地(以下「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする。
(3) 次図のように不整形地に近似する整形地(以下「近似整形地」という。)を求め、その設定した近似整形地を基として計算する方法
(注) 近似整形地は、近似整形地からはみ出す不整形地の部分の地積と近似整形地に含まれる不整形地以外の部分の地積がおおむね等しく、かつ、その合計地積ができるだけ小さくなるように求める((4)において同じ。)。
(4) 次図のように近似整形地(①)を求め、隣接する整形地(②)と合わせて全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する整形地(②)の価額を差し引いた価額を基として計算する方法
【財産評価総則基本通達第2章24-4】(広大地の評価)
その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法第4条((定義))第12項に規定する開発行為(以下本項において「開発行為」という。)を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの(22-2((大規模工場用地))に定める大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(その宅地について、経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいう。)を除く。以下「広大地」という。)の価額は、原則として、次に掲げる区分に従い、それぞれ次により計算した金額によって評価する。(平6課評2-2外追加、平11課評2-12外・平12課評2-4外・平16課評2-7外・平17課評2-11外改正)
(1) その広大地が路線価地域に所在する場合
その広大地の面する路線の路線価に、15((奥行価格補正))から20-5((容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価))までの定めに代わるものとして次の算式により求めた広大地補正率を乗じて計算した価額にその広大地の地積を乗じて計算した金額
(2) その広大地が倍率地域に所在する場合
その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額を14((路線価))に定める路線価として、上記(1)に準じて計算した金額
(注)
1 本項本文に定める「公共公益的施設用地」とは、都市計画法第4条≪定義≫第14項に規定する道路、公園等の公共施設の用に供される土地及び都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第27条に掲げる教育施設、医療施設等の公益的施設の用に供される土地(その他これらに準ずる施設で、開発行為の許可を受けるために必要とされる施設の用に供される土地を含む。)をいうものとする。
2 本項(1)の「その広大地の面する路線の路線価」は、その路線が2以上ある場合には、原則として、その広大地が面する路線の路線価のうち最も高いものとする。
3 本項によって評価する広大地は、5,000平方メートル以下の地積のものとする。したがって、広大地補正率は0.35が下限となることに留意する。
4 本項(1)又は(2)により計算した価額が、その広大地を11((評価の方式))から21-2((倍率方式による評価))まで及び24-6((セットバックを必要とする宅地の評価))の定めにより評価した価額を上回る場合には、その広大地の価額は11から21-2まで及び24-6の定めによって評価することに留意する。【財産評価総則基本通達第2章第2節付表5】不整形地補正率表(平11課評2-12外追加・平18課評2-27外改正)
※本表は平成19年分以降用です。
地区区分 高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、中小工場地区 普通住宅地区 地積区分 A B C A B C かげ地割合 10%以上 0.99 0.99 1.00 0.98 0.99 0.99 15% 〃 0.98 0.99 0.99 0.96 0.98 0.99 20% 〃 0.97 0.98 0.99 0.94 0.97 0.98 25% 〃 0.96 0.98 0.99 0.92 0.95 0.97 30% 〃 0.94 0.97 0.98 0.90 0.93 0.96 35% 〃 0.92 0.95 0.98 0.88 0.91 0.94 40% 〃 0.90 0.93 0.97 0.85 0.88 0.92 45% 〃 0.87 0.91 0.95 0.82 0.85 0.90 50% 〃 0.84 0.89 0.93 0.79 0.82 0.87 55% 〃 0.80 0.87 0.90 0.75 0.78 0.83 60% 〃 0.76 0.84 0.86 0.70 0.73 0.78 65% 〃 0.70 0.75 0.80 0.60 0.65 0.70 (注)
1 不整形地の地区区分に応ずる地積区分は、付表4「地積区分表」による。
2 かげ地割合は次の算式により計算した割合による。
3 間口狭小補正率の適用がある場合においては、この表により求めた不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて得た数値を不整形地補正率とする。ただし、その最小値はこの表に定める不整形地補正率の最小値(0.60)とする。
また、奥行長大補正率の適用がある場合においては、選択により、不整形地補正率を適用せず、間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じて得た数値によって差し支えない。
4 大工場地区にある不整形地については、原則として不整形地補正を行わないが、地積がおおむね9,000平方メートル程度までのものについては、付表4「地積区分表」及びこの表に掲げる中小工場地区の区分により不整形地としての補正を行って差し支えない。【財産評価総則基本通達第2章第2節付表2】側方路線影響加算率表(平3課評2-4外・平18課評2-27外改正)
※本表は平成19年分以降用です。
地区区分 高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、中小工場地区 普通住宅地区 地積区分 A B C A B C かげ地割合 10%以上 0.99 0.99 1.00 0.98 0.99 0.99 15% 〃 0.98 0.99 0.99 0.96 0.98 0.99 20% 〃 0.97 0.98 0.99 0.94 0.97 0.98 25% 〃 0.96 0.98 0.99 0.92 0.95 0.97 30% 〃 0.94 0.97 0.98 0.90 0.93 0.96 35% 〃 0.92 0.95 0.98 0.88 0.91 0.94 40% 〃 0.90 0.93 0.97 0.85 0.88 0.92 45% 〃 0.87 0.91 0.95 0.82 0.85 0.90 50% 〃 0.84 0.89 0.93 0.79 0.82 0.87 55% 〃 0.80 0.87 0.90 0.75 0.78 0.83 60% 〃 0.76 0.84 0.86 0.70 0.73 0.78 65% 〃 0.70 0.75 0.80 0.60 0.65 0.70 (注) 準角地とは、次図のように一系統の路線の屈折部の内側に位置するものをいう。