通常では倍率方式で評価を行う土地の場合には、固定資産税評価額を元にして相続等で税が発生した際の評価を行います。
ところが、国有地や公有地の払下げなどで固定資産税が計算されていない土地を入手した場合、本来は国税局が払下げた土地の固定資産税(年額)分を算出して、土地を入手した日から固定資産税発生日までの固定資産税の税金を日割り計算した額を所有者に請求することになるのですが、払下げた日が相続等で課税が発生した時期の直前で、課税発生日に固定資産税の評価額がまだ台帳に記載されていないというケースが存在します。
タイミングの問題とはいえ、これでは倍率方式により税の評価が行えなくなる不都合なケースです。
正しい固定資産税が付されていない土地の例
固定資産税が全く付されていない土地の例と同様なケースで、台帳に地目と固定資産税評価額が掲載されていたものが、相続等で税が発生する直前に「地目の変更」が行われ、税の発生時点で台帳に掲載されている固定資産税評価額が「現状に一致していない」ケースも存在します。
これもタイミングの問題とはいえ、そのままの倍率方式では正しい税の評価が行えなくなるケースです。
固定資産税評価額が付されていない土地の評価方法
このように、税の発生時点で全く固定資産税評価額が付されていない、もしくは正しい固定資産税評価額が付されていない土地の評価方法として、国税庁では救済措置を設けています。
すなわち、固定資産税評価額が付されていない土地の現状に応じて、状況が類似するその付近の土地の固定資産税評価額を基にして、付近の土地と該当する土地との位置や面積、形状等の条件を考慮して、該当の土地の固定資産税評価額に相当する暫定の評価額を算出して、その暫定の評価額に評価倍率を掛け算して評価価額を算出することで、固定資産税評価額が付されていない土地の評価方法としています。
ただし、相続等で発生した税の申告書を提出する期限までに、その土地に正規な固定資産税評価額が付加された場合には、その付加された固定資産税評価額を採用して評価を行う事になります。
【財産評価総則基本通達第2章21】(倍率方式)
倍率方式とは、固定資産税評価額(地方税法第381条≪固定資産課税台帳の登録事項≫の規定により土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(同条第8項の規定により土地補充課税台帳とみなされるものを含む。)に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。以下この章において同じ。)に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいう。(昭41直資3-19・平3課評2-4外・平11課評2-12外改正)