造成中の宅地とは、それまで他の用途で使用していた土地に大規模な土木工事を行い、宅地として使用することを目的とするために使用可能な土地に改修している最中の土地のことを指します。
当然ながら宅地を造成するにあたり「地目の変更」が生じ、更には「宅地としてそこで人々が生活をするためのライフラインの設置」、「傾斜地を平地にする、地盤土壌を改良する」等の住宅地を建築可能にするための工事を始めとして、その住宅地へのアクセスを行うための道路等の建設や住民が使用する公共施設の建設なども含んだ工事になります。
造成中の宅地の評価方法
相続等で税が発生した際に、その対象の土地が造成中の宅地であった場合については、「財産評価基本通達第2章24-3:造成中の宅地の評価」において、造成中の宅地の評価方法を定めています。
まず、その土地が造成工事着手以前の旧地目と仮定した場合の、税が発生した際の評価価額を算出(旧地目での評価額)します。
次に、造成着手から税か発生した際までに、その宅地の造成のために使用した費用現価を算出します。
この費用現価とは、「低湿地や沼地などの埋め立て、傾斜地や凹凸のある地面を均すための土盛り、地ならし、造成した宅地から土が崩れないようにする土止めの各工事等に使用した工事費」などを指します。
この費用現価を、税が発生した時期での時価評価に直した額を算出(造成費の時価評価額)します。
その上で、「旧地目での評価額」と「造成時の時価評価額の80%に相当する額」を合計した額を、税制上での造成中の宅地の評価価額とします。
すなわち、「税が発生した時点ではまだ造成が完了していない」造成中の宅地の評価においては、造成前の地目での評価価額と、税が発生した時点での造成費の時価評価額を算出が必要となります。
この費用現価を算出する上で必要なのが、「該当する各工事の進捗率」(全体の工事のどれだけの割合の工事が完了しているか)なので、税が発生した時点で該当する各工事業者から進捗率の報告書を提出して貰い、税の申告時にエビデンスとする必要があります。
【財産評価総則基本通達第2章24-3】(造成中の宅地の評価)
造成中の宅地の価額は、その土地の造成工事着手直前の地目により評価した課税時期における価額に、その宅地の造成に係る費用現価(課税時期までに投下した費用の額を課税時期の価額に引き直した額の合計額をいう。以下同じ。)の100分の80に相当する金額を加算した金額によって評価する。(昭41直資3-19追加、平3課評2-4外改正)