複数の地目の土地を一体利用している貸宅地等の評価

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複数の地目の土地を一体利用している場合というのは、具体例を挙げると次のようなケースが考えられます。
一団の土地の中で、一部に建物を建築して住居用として使用して、残りの土地に駐車場を建設しているケースです。
このケースでは、住居用として使用する建物に関わる土地の地目は「宅地」となり、駐車場として使用する土地の地目は「雑種地」になります。
そして「駐車場が住居用として使用する建物の居住者のために使用される」場合は、地目上では「宅地と雑種地を一体利用している」ことになります。

複数の地目の土地を一体利用している貸宅地の具体例

前項で挙げた具体例に、「貸宅地」という条件を更に追加した場合というのは、前項にて宅地と雑種地を一体利用している人が、その一体利用している土地を他の土地所有者から借りて使用しているケースです。
この場合、土地を貸している側が土地の所有者となり、土地を借りている側に借地権が発生します。

複数の地目の土地を一体利用している貸宅地等の評価

土地の所有者側に相続等の税が発生した際の、前項で述べたような複数の地目の土地を一体利用している貸宅地等の評価については、複数の地目の土地の面積の、土地全体の面積に対する割合で分けて、地目毎に土地の評価を行います。
この際には土地の賃借での権利や国税庁で定められた数値が必要となりますので、今回のケースの場合を例に順を追って説明します。
〔手順1〕
まず、一体利用している土地全体の評価額を算出します。
倍率方式であれば倍率方式で、路線価方式であれば路線価に必要な各種補正率や加算率を使用して、土地全体の評価額を算出します。
〔手順2〕
次に、住居用の建築物が存在する「地目:宅地」側の評価額を算出します。
この場合は、国税庁が定める借地権と、土地全体の面積に対する宅地として使用する面積の割合とを使用して、次の式で「地目:宅地」側の評価額を算出します
まず、該当の土地に該当する国税庁が定めた「借地権割合」を調査した上で、次の計算を行います。
[土地全体の評価額]×[土地全体に対する宅地の面積の割合]×(1-[借地権割合])
この計算で求めた値が、「地目:宅地」での評価額になります。
〔手順3〕
次に、駐車場が存在する「地目:雑種地」側の評価額を算出します。
この場合は、「財産評価総則基本通達第2章86:貸し付けられている雑種地の評価」項目で設定されている、賃借権の残存期間における賃借権割合を準備した上で、次の計算を行います。
[土地全体の評価額]×[土地全体に対する雑種地の面積の割合]×(1-[賃借権割合])
この計算で求めた値が、「地目:雑種地」での評価額になります。

まとめ

このようにして、税制上では複数の地目の土地を一体利用している貸宅地等の評価は、地目毎に面積の占める割合によって分けた上で評価価額を算出する方法を用います。

【財産評価総則基本通達第2章7】(土地の評価上の区分)
7 土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする。
 なお、市街化調整区域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条((区域区分))第3項に規定する「市街化調整区域」をいう。以下同じ。)以外の都市計画区域(同法第4条((定義))第2項に規定する「都市計画区域」をいう。以下同じ。)で市街地的形態を形成する地域において、40((市街地農地の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40-3((生産緑地の評価))に定める生産緑地を除く。)、40-2((広大な市街地農地等の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40-3に定める生産緑地を除く。)、49((市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、49-2((広大な市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、58-3((市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野、58-4((広大な市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野又は82((雑種地の評価))の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価するものとする。
 地目は、課税時期の現況によって判定する。(昭47 直資3-16・平3課評2-4外・平11課評2-12外・平16課評2-7外・平18課評2-27外改正)
(1) 宅地
(2) 田
(3) 畑
(4) 山林
(5) 原野
(6) 牧場
(7) 池沼
(8) 削除
(9) 鉱泉地
(10) 雑種地
(注) 地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて行う。ただし、「(4)山林」には、同準則第68条の「(20)保安林」を含み、また「(10)雑種地」には、同準則第68条の「(12)墓地」から「(23)雑種地」まで(「(20)保安林」を除く。)に掲げるものを含む。

【財産評価総則基本通達第2章25】(貸宅地の評価)
宅地の上に存する権利の目的となっている宅地の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭41直資3-19・平3課評2-4外・平6課評2-2外・平14課評2-2外・平16課評2-7外・平17課評2-11外改正)
(1) 借地権の目的となっている宅地の価額は、11((評価の方式))から22-3((大規模工場用地の路線価及び倍率))まで、24((私道の用に供されている宅地の評価))、24-2((土地区画整理事業施行中の宅地の評価))、24-4((広大地の評価))及び24-6((セットバックを必要とする宅地の評価))から24-8((文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価))までの定めにより評価したその宅地の価額(以下この節において「自用地としての価額」という。)から27((借地権の評価))の定めにより評価したその借地権の価額(同項のただし書の定めに該当するときは、同項に定める借地権割合を100分の20として計算した価額とする。25-3((土地の上に存する権利が競合する場合の宅地の評価))において27-6((土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価))の定めにより借地権の価額を計算する場合において同じ。)を控除した金額によって評価する。
 ただし、借地権の目的となっている宅地の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した価額の宅地の自用地としての価額に対する割合(以下「貸宅地割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が貸宅地割合を定めている地域においては、その宅地の自用地としての価額にその貸宅地割合を乗じて計算した金額によって評価する。

【財産評価総則基本通達第2章27】(借地権の評価)
借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、当該価額に対する借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権の価額の割合(以下「借地権割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める割合を乗じて計算した金額によって評価する。ただし、借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない。(昭41直資3-19・平3課評2-4外改正)

【財産評価総則基本通達第2章86】(貸し付けられている雑種地の評価)
86 賃借権、地上権等の目的となっている雑種地の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭41直資3-19・平3課評2-4外・平6課評2-2外改正)
(1) 賃借権の目的となっている雑種地の価額は、原則として、82≪雑種地の評価≫から84≪鉄軌道用地の評価≫までの定めにより評価した雑種地の価額(以下この節において「自用地としての価額」という。)から、87≪賃借権の評価≫の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって評価する。
  ただし、その賃借権の価額が、次に掲げる賃借権の区分に従いそれぞれ次に掲げる金額を下回る場合には、その雑種地の自用地としての価額から次に掲げる金額を控除した金額によって評価する。
イ 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)
  その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じ次に掲げる割合を乗じて計算した金額
(イ) 残存期間が5年以下のもの 100分の5
(ロ) 残存期間が5年を超え10年以下のもの 100分の10
(ハ) 残存期間が10年を超え15年以下のもの 100分の15
(ニ) 残存期間が15年を超えるもの 100分の20
ロ イに該当する賃借権以外の賃借権
  その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じイに掲げる割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額
(2) 地上権の目的となっている雑種地の価額は、その雑種地の自用地としての価額から相続税法第23条≪地上権及び永小作権の評価≫又は地価税法第24条≪地上権及び永小作権の評価≫の規定により評価したその地上権の価額を控除した金額によって評価する。
(3) 区分地上権の目的となっている雑種地の価額は、その雑種地の自用地としての価額から87-2≪区分地上権の評価≫の定めにより評価したその区分地上権の価額を控除した金額によって評価する。
(4) 区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である雑種地の価額は、その雑種地の自用地としての価額から87-3≪区分地上権に準ずる地役権の評価≫の定めにより評価したその区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって評価する。
(注) 上記(1)又(2)において、賃借人又は地上権者がその雑種地の造成を行っている場合には、その造成が行われていないものとして82≪雑種地の評価≫の定めにより評価した価額から、その価額を基として87≪賃借権の評価≫の定めに準じて評価したその賃借権の価額又は相続税法第23条≪地上権及び永小作権の評価≫若しくは地価税法第24条≪地上権及び永小作権の評価≫の規定により評価した地上権の価額を控除した金額によって評価する。

【財産評価総則基本通達第2章87】(賃借権の評価)
雑種地に係る賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価する。ただし、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところにより評価することができるものとする。(平3課評2-4外改正)
(1) 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される相続税法第23条≪地上権及び永小作権の評価≫若しくは地価税法第24条≪地上権及び永小作権の評価≫に規定する割合(以下「法定地上権割合」という。)又はその賃借権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか低い割合を乗じて計算した金額によって評価する。
(2) (1)に掲げる賃借権以外の賃借権の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額によって評価する。


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