評価会社が受け取った生命保険金の取扱い

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「一株あたりの純資産価額を計算するにあたって、被相続人が死亡した時に評価会社が受け取った生命保険金は評価会社の資産に計上することになるのか」また「その受け取った生命保険金から、被相続人に死亡退職金を支払った場合、その死亡退職金の額は負債に計上することになるのか」という質問が、この質疑応答ではなされています。

生命保険の額の計上

被相続人が死亡した場合に財産評価される会社が受け取った生命保険の額は、生命保険金請求権として会社の資産に計上することになります。その時、支払った保険料が資産に計上されている場合は、そのぶんの金額を合計資産から除きます。
そして、この時、死亡退職金を支払っていた場合は、負債に計上することになります。

その理由

被相続人が死亡した際に会社が受け取る生命保険が資産に計上される理由として、保険金の発生は事故の発生によってその請求権が確定されるものとなるので、その請求権は事故が起きた時に資産に計上されることとなります。
ゆえに、被相続人が死亡して保険料が会社に支払われることとなっている際には生命保険金請求権が会社に発生し、その請求権が財産評価の対象となります。
そして先も述べたとおり、保険料を支払っていた場合の保険料が資産として計上されていた場合はその支払い分は合計資産から除くことになり、また、その保険料から死亡退職金を支払っていた場合にはその金額は負債分として計上されることとなります。

評価会社が受け取った生命保険金の取扱い

【照会要旨】
 1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算に当たって、被相続人の死亡を保険事故として評価会社が受け取った生命保険金は、評価会社の資産に計上するのでしょうか。
 また、生命保険金から被相続人に係る死亡退職金を支払った場合には、その死亡退職金の額を負債に計上してよろしいですか。

【回答要旨】
 受け取った生命保険金の額を生命保険金請求権として資産に計上します。なお、その保険料(掛金)が資産に計上されているときは、その金額を資産から除外します。
 また、支払った死亡退職金の額及び保険差益に対する法人税額等を負債に計上します。

(理由)
1 被相続人の死亡を保険事故として、評価会社が受け取った生命保険金は、保険事故の発生によりその請求権が具体的に確定するものですから、生命保険金請求権として資産に計上することになります(「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」の「第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の記載に当たっては、「相続税評価額」欄及び「帳簿価額」欄のいずれにも記載します。)。この場合、その保険料が資産に計上されているときは、その金額を資産から除外します。
 また、その生命保険金を原資として被相続人に係る死亡退職金を支払った場合には、その支払退職金の額を負債に計上するとともに、支払退職金を控除した後の保険差益について課されることとなる法人税額等についても負債に計上します。
2 なお、評価会社が仮決算を行っていないため、課税時期の直前期末における資産及び負債を基として1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)を計算する場合における保険差益に対応する法人税額等は、この保険差益によって課税所得金額が算出される場合のその課税所得の42%(※)相当額によって差し支えありません。
 ※ 平成22年10月1日から平成24年3月31日までの間に相続等により取得した株式については「45%」になります。

【関係法令通達】
 財産評価基本通達185、186、186-2
 平成2年12月27日付直評23外「相続税及び贈与税における取引相場のない株式等の評価明細書の様式及び記載方法等について」通達 第5表2(4)


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