相続税申告における「住所地」の判定

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住所地の判定は納税義務者の区分において重要な要素になりますが、住所の概念については相続税法に規定が設けられていないので、民法の規定により判断されることになります。民法第22条では、住所とは「各人の生活の本拠をその者の住所とする」と規定されており、 相続税法においてもこれと同じ考え方をとります。

生活の本拠とは人の生活の中心となっている場所であり、その判定には、民法上、主観主義と客観主義があります。主観主義とは定住という客観的事実の他に定住の意思を必要とする考え方であり、客観主義とは客観的事実のみに基づいて判断する考え方になります。相続税法においては客観主義の考え方をとることが明らかにされています(相基通1の3・1の4共-5)。

すなわち、相続税法において住所とは、住民票による形式基準ではなく、住居、職業、国内において生計を一にする配偶者及びその他の親族を有するか否か、資産の所在などによる客観的事実に基づいて総合的に判断することが必要となります。

また、同一人について同時に法施行地に2か所以上の住所はないものとされています。
例えば、平日は東京、週末は大阪で過ごしている場合には、客観的事実に基づいて総合的に判断し、どちらか一方を住所地とすることになります。

なお、所得税法においては、一定の要件を満たすことにより国内に住所を有すると推定して課税する、あるいは国内に住所を有しないと推定して課税する推定課税の規定が設けられていますが、相続税法には推定課税の規定はありません(所令14、15)。

国外勤務者等の住所の判定

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住所は各人の生活の本拠であり、その生活の本拠は客観的事実に基づいて判定することになりますが、具体的に国外勤務者等の住所を判定する場合、どのように判定すべきか迷うところがあります。そこで、日本国籍を有している者が相続若しくは遺贈又は贈与により財産を取得した時に法施行地を離れている場合であっても、次に該当する場合には、その者の住所は、法施行地にあるものとして取り扱います(相基通1の3・1の4共-6)。また、国外出張、国外興行等により一時的に法施行地を離れているに過ぎない者についても、その者の住所は法施行地にあることになります。

  1. 学術、技芸の習得のために留学している者で法施行地にいる者の扶養親族となっている者
  2. 国外において勤務その他人的役務の提供をする者で国外における当該人的役務の提供がおおむね1年以内の短期間であると見込まれる者(その者の配偶者その他生計を一にする親族でその者と同居している者も含む)

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