【説例の前提条件】
推定被相続人の不動産は、自宅と古い戸建て賃貸の2つです。
しかし、戸建て賃貸は現在空き家となり1年経ちました。
いつ賃借人が入居してくるか未定です。
1. 戸建ての賃貸不動産の評価方法の概要
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!戸建ての賃貸不動産は、推定被相続人の相続開始日において賃貸人がいるかどうかが評価の分かれ目になります。
賃借人がいれば、土地は貸家建付地として扱い、自用地評価×(1-借家権割合×借地権割合)で評価します。
建物は貸家として扱い、固定資産税評価額×(1-借家権割合)で評価します。
賃借人がいなければ、土地は自用地評価となり、家屋は自用家屋として扱うため固定資産税相当額で評価することになります。
なお、相続開始時点において賃借人は募集中で、その後賃借人が入居したとしても、土地は自用地評価、家屋は自用家屋として評価します。
2. 戸建ての賃貸不動産の評価にあたっての留意点
老朽化が進んでいる家屋であれば、リフォームや修繕等をした方がよいかもしれません。
増改築等の大規模な工事をするかどうかは、その後の戸建て賃料による回収率もありますので、慎重に行いましょう。
今後、リフォームや増改築等を行ったとしても、不動産賃貸業として採算が合わないと認められるときは、納税資金の確保も兼ねて不動産を売却するのも選択肢の一つとして検討することも必要です。
3. 説例の評価計算
A. 賃貸人がいない場合
① 建物の評価額
7,000千円
② 土地の評価額
15,000千円
①+②=22,000千円
B. 賃貸人がいる場合
① 建物の評価額
7,000千円×(1-0.3)=4,900千円
② 土地の評価額
15,000千円×(1-0.3×0.6)=12,300千円
①+②=17,200千円
賃貸人がいる場合は、いない場合に比べて4,800千円評価減されます。