被相続人が、外貨預金などの外貨建て金融資産を保有していた場合、相続税評価はどのように行うのでしょうか。外貨建て資産は円貨に換算して評価額を計算する必要があります。ここでは、外貨建て資産を円貨で評価する方法を詳しくご説明します。
~目次~
1.外貨建ての海外資産はTTB(対顧客直物電信買相場)で行う
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!外貨預金など外貨建ての海外資産を相続税評価する場合、円貨に換算する必要があります。その際は、課税時期(被相続人が死亡した日)において、納税者の取引金融機関が公表する為替レートによって評価をします。
個人が金融機関と取引をする際の為替レートにはTTS(対顧客電信売相場)とTTB(対顧客電信直物買相場)があります。このうちTTBは、金融機関が顧客から外貨を買い取る際のレートで、顧客から見た場合、外貨を円貨に交換する際のレートになります。外貨建て資産を円貨に換算する場合は、TTBを用いて計算します。
2.外貨建ての債務がある場合にはTTS(対顧客直物電信売相場)で行う
相続税を計算する際、被相続人に債務があった場合、相続財産から債務控除することができます。債務が外貨建てである場合も、同じように円貨に換算して控除します。この場合は、円貨を外貨に交換して外貨で債務の返済を行うことになるので、円貨を外貨に交換する際のレート、つまりTTSで債務の額を計算します。
3.外貨建て資産の相続税評価についてのQ&A
Q.相続開始日が日曜や祝日だった場合にはどうすればいいか
相続開始日が土日曜や祝日だった場合、課税時期に相場がないことになります。その際は課税時期前の、課税時期に最も近い相場を用いて計算します。例えば、2月15日(日)が課税時期である場合、外貨建て資産を評価するTTBは、2月13日(金)の相場を用います。
Q.海外にある不動産についてもTTBで換算するのか
海外の不動産を相続税評価する場合も、国税庁が相続財産の評価方法を定めた「財産評価基本通達」に基づいて行います。つまり、その不動産を外貨建てで評価して、相続開始日のTTBで円換算して計算するというものです。
国内に不動産を保有している場合、路線価などを用いて相続税評価を行いますが、海外では路線価のない国もあり、国内の不動産と同じようには評価できません。その場合は、市場での売買価格や、精通者意見価格等を参考にして評価額を算定します。具体的には現地の不動産会社に査定を依頼したり、不動産鑑定士等の専門家に鑑定を依頼することになります。
Q.各国の為替相場はどのようにして調べればいいのか
外貨建て資産を円換算する際の為替レートは、納税者の取引金融機関が公表する為替レートを用います。金融機関のホームページに各国通貨ごとの為替レートが公表されるので、確認してください。
4.まとめ
外貨建ての財産の相続税評価についてご説明しました。外貨建て資産はTTB(対顧客直物電信買相場)で換算します。外貨建ての債務がある場合は円換算の額が債務控除の対象となりますが、その際はTTS(対顧客電信売相場)で換算します。