同一敷地内に親と子の建物がある場合の小規模宅地等の特例

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
同一敷地内に親と子の建物がある場合の小規模宅地等の特例

相続税の節税を考えた場合に活用したい「小規模宅地等の特例」ですが、被相続人である親の所有する同一敷地内に親と子の建物が別々に建っている場合にはどのような取り扱いとなるのでしょうか。「小規模宅地等の特例」の適用条件とその例外についてご紹介します。

1.原則:別棟は同居とならないため適用不可

>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!

同居親族が相続により宅地等を取得する場合、相続税の課税対象から一定割合の減額を受けられる「小規模宅地等の特例」制度があります。しかし、二次相続の場合など、配偶者の居ない親の所有する敷地内に2棟の家屋を建て、親と子がそれぞれ別の建物に住んでいるという事例は珍しくありません。

しかし、同一敷地内でも建物が2棟となる場合には、原則として「小規模宅地等の特例」の適用はできません。「小規模宅地等の特例」の適用は、同居親族であることが条件です。同じ敷地に住んでいたとしても、建物が独立している場合には「共に起居」という同居の条件に該当せず、親子が別々に生活しているとみなされるからです。ただし、ここでの前提としては、親の建物は親名義、子の建物は子名義になっていたとします。

2.例外1:親と子が生計を一にしている場合には子居住部分の敷地が適用対象になる

建物が別棟で独立しており同居の条件を満たせない場合でも、親と子が生計を一にしていた場合には例外として「小規模宅地等の特例」の適用が受けられます。

親子の生計が一であった場合には、子が住んでいる建物の敷地部分のみが「小規模宅地等の特例」の適用となります。子の建物については、親の所有であっても、子の所有であっても構いません。ただし、相続開始の直前から、相続税申告期限まで継続して居住しておく必要があります。

3.例外2:親と子が居住している建物が親名義で子が「家なき子」に該当すれば親居住部分の敷地が適用対象

親と子が住んでいた建物が、いずれも所有者が親名義である場合にも、特例として「小規模宅地等の特例」が適用されます。これは通称「家なき子特例」といわれるものです。ただし、親が住んでいた建物の敷地部分のみが対象となります。また、その子や子の配偶者が相続開始3年以内に持ち家を所有したことがないことが条件となります。

例外の条件となるのは持ち家を所有していないことですので、同一敷地内に住んでいた子の場合でも、現在住んでいる家が子の名義であった場合には特例の適用となりません。一方、敷地内に住んでいるかどうかは問題とはされないため、家なき子特例は別居している他の親族にも適用が可能です。

4.まとめ

同一敷地内で独立した2つの建物に居住していた親子の場合の、「小規模宅地等の特例」の取り扱いについてご紹介しました。建物が別の場合は原則適用外ですが、親子の生計が一の場合と子の居住建物が子の名義でない場合には例外となります。


【相続実務アカデミー】実務向け最新の相続知識を無料で!!無料会員登録はこちら
【採用情報 - RECRUIT -】チェスターで一緒に働きませんか?相続業務の魅力・給与・福利厚生ectはこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る