個人で契約した生命保険契約の死亡保険金と同じように、法人契約の死亡保険金もその従業員の遺族が受け取ると相続税がかかりますが、その死亡保険金の一部は非課税になります。法人契約の死亡保険金に関する相続税と非課税枠の適用についてご紹介しましょう。
1.法人契約の死亡保険金を従業員の遺族が受け取った場合には相続税がかかる
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!企業は、従業員が死亡したときに遺族が死亡保険金を受け取れるように、従業員を「被保険者」、妻などの家族を「受取人」として生命保険に加入することがあります。
この場合、生命保険の保険料は雇用主が負担しているので「保険料負担者」は雇用主です。一方、相続税がかかるのは被保険者自身が「保険料負担者」のときで、被保険者・保険料負担者・受取人の三者が異なる場合は贈与税の対象となります。
しかし、相続税法基本通達3-17では、例外的に雇用主が保険料を負担している保険契約の場合には、『死亡した従業員(被保険者)が保険料を負担していたもの(保険料負担者)とする』としています。そのため、従業員の妻などの法定相続人が法人契約の死亡保険金を受け取った場合には「相続による取得」とみなされ、相続税がかかるのです。
なお、法定相続人には配偶者、また、亡くなった従業員の子どもも含まれます。もし、妻も子どももいなければ死亡した従業員の父母や祖父母などの直系尊属、直系尊属もいなければ兄弟姉妹などの相続順位が上がり、相続できることもあります。内縁関係にあった人は法定相続人にはなれず、内縁関係の人が死亡保険金を受け取ったときは相続税の非課税枠は適用されません。
2.遺族が受け取った死亡保険金は「500万円×法定相続人の人数」まで非課税になる
死亡保険金を受け取った人が相続人であるとき、非課税枠が適用されます。死亡保険金に相続税がかかるのは、相続人が受け取った保険金の合計額が非課税限度額(500万円×法定相続人の人数)を超えた分だけです。「受け取った保険金の合計額」には法人契約だけでなく、亡くなった従業員が契約していた生命保険によって取得した保険金も含み、「法定相続人の人数」には相続放棄した人も含まれます。
たとえば、相続人である妻と長男、次男のうち次男が相続を放棄した場合、死亡保険金に対する非課税限度額は1,500万円(500万円×3人)になります。
なお、紛らわしい点として押さえておきたいのは、企業内に法人契約した死亡保険金を「退職手当金の代わりに支払う」といった規約などがあるときは「死亡退職金」として相続税がかかるということです。
相続人が死亡退職金(死亡後3年以内の支給確定分を含む)として受け取ると、亡くなった人が契約していた死亡保険金と合算する必要はありません。死亡退職金の非課税限度額も、死亡保険金の非課税枠とは別に設けられています。
3.まとめ
法人契約の死亡保険金は、個人契約の場合と同様に法定相続人の人数によって非課税限度額が異なります。また、従業員の遺族が法人契約の死亡保険金を受け取った場合、個人契約による死亡保険金があるときは合算する必要があるので注意しましょう。