父親が亡くなったことで受け取る生命保険金は、相続税の課税対象です。もし父親が外国の生命保険に入っていたら、その保険金はどのような税金の課税対象になるのでしょうか?今回は外国の保険会社からの死亡保険と相続税についてご紹介します。
~目次~
1.日本人は外国の生命保険に原則として加入することはできない
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!日本では、保険業法で免許を受けている保険会社だけが営業をできることになっています。そして実は、日本人はこの保険業法で営業許可を受けた保険会社の保険にしか入ることができず、日本国内での営業許可を受けていない外国の保険会社で取り扱う保険に加入するためには、申し込みを行うまでに内閣総理大臣の許可を受ける必要があります。この規定に反した場合、50万円以下の過料が科されます。
ここでいう外国の保険会社とは、外資系ではなく、日本国内に支店がない保険会社のことを指します。
外国の生命保険に入るためにはあらかじめ金融庁に申請を出しますが、国内で営業許可を受けている保険会社保護の観点から、実際はなかなか許可が下りるものではありません。
2.みなし相続税財産の対象となる生命保険金の中には、外国保険会社からの死亡保険金も含まれる
2-1.節税対策として使われていた
外国の保険でも、被保険者が亡くなった場合、保険金が支払われます。日本の保険会社による保険金なら相続財産になりますが、外国の保険会社が支払う保険金は2007年までは一時所得扱いになり、所得税・住民税の対象でした。
また、払い込んだ保険金は費用として控除対象にできることもあって、最高税率が適用される富裕層にとっては、所得税・住民税の方が相続税よりも課税率が低くなるため、お金を残すための方法として外国の保険会社が使われていたのです。
アメリカの保険会社に1億円の保険金を払い込み、2億円の保険金が下りたとします。この2億円が課税対象になりますが、節税対策として使われていた当時は、所得税・住民税の方が、税率が低かったので、大きな差が生じました。
また、1億円を払い、1億円の保険金が下りたとしたら、日本の場合はその1億円に相続税がかかりますが、外国の保険なら払い込んだ1億円は経費とみなされるので、税金は課されませんでした。
そのため、富裕層向けに外国の保険加入ツアーが行われていたほどです。
2-2.外国の保険金はどういう扱いになる?
外国の保険会社を使った節税対策が問題視され、2007年の税制改正で外国の保険金も日本の保険金と同等に「相続財産」として、扱われるようになりました。
2006年までは外国の保険金は一時所得でしたが、2007年4月1日以降に受け取った外国の保険金は日本の保険金同様、相続財産とみなされるようになったのです。
相続税は亡くなった時の税率が適用されるため、一時所得扱いの時に加入していたとしても、2007年以降に受け取ることになれば、その保険金は相続財産扱いになり相続税の課税対象になります。
3.まとめ
最高税率がかかる富裕層にとって、かつては外国の保険は節税対策になっていましたが、現在は違います。また加入した時点では保険金の扱いが一時所得でも、被保険人が亡くなって保険金を受け取る時期が2007年4月1日以降であれば、保険金はみなし相続財産となります。