たな卸資産である不動産の相続税評価は普通の宅地の評価とは異なる
相続があった場合には相続する財産を評価することからはじめます。その財産には不動産があることもありますが、普通の居住用の土地や建物と不動産業を営んでいた場合の土地や建物では評価方法が異なっています。
普通の住宅の場合は固定資産として評価しますが、不動産業を営んでいた場合の不動産はたな卸資産として評価します。ですから、普通の住宅の評価法である路線価方式や倍率方式で評価するのではなく特別な評価方法によります。
具体的には、営業活動に使う不動産ですので販売価額には次のものが含まれています。それは、企業として得るであろう適正利潤です。企業が継続するためには利潤が必要ですので仕入れ価額に適正利潤を上乗せするのは当然のことです。
次に、課税時期後から販売時までに負担することが予想される経費の額があります。企業は利潤を上乗せするだけではトータルでは赤字になってしまいます。経費の分も仕入れ価額に上乗せする必要があります。因みに、これを予定経費といいます。そして最後は販売したときに納めるべき消費税額です。この消費税額には地方消費税額も含みます。
このように、企業が販売時に示している販売価額にはこれらのものが含まれています。ですから、たな卸し資産として評価する際はこれらを差し引く必要があります。
棚卸し資産として評価するのは不動産業者の不動産に限ったことではなく、業務を営む際に保有している資産はすべてたな卸資産として評価するのが相続税では一般的です。
(たな卸資産である不動産)
38-4 法第38条に規定する「不動産」には、たな卸資産である不動産を含むのであるから留意する。(昭57直資2-177追加、平4課資2-158・徴管5-6、平18徴管5-14改正)