鉱泉地の相続税評価は、その鉱泉地を旅館、料理店等の営業主が利用する場合の評価と、営業者以外の者が利用する場合の評価の2つに分かれます。そして、「住宅、別荘地等の鉱泉地の相続税評価」は、後者の営業主以外の者が利用する鉱泉地の評価方法のことをいいます。以下で、これについて解説します。
「鉱泉地の評価」と「住宅、別荘等の鉱泉地の評価」の違いについて
鉱泉地の相続税評価は、原則として、財産評価基本通達第2章第9節(69)「鉱泉地の評価」に従って行います。しかし、その評価方法は、鉱泉地の利用者が旅館、料理店等営業者であることを前提に設定されています。
それゆえ、評価対象の鉱泉地が、旅館、料理店等の営業者以外の利用者である場合には、
そのままその評価方法を適用することは適切ではありません。そこで、同通達の第2章第9節(75)において、鉱泉地の利用者が営業者以外である場合の鉱泉地の評価方法が規定されています。
住宅、別荘等の鉱泉地の評価について
財産評価基本通達第2章第9節(75)を、「住宅、別荘等の鉱泉地の評価」いいます。これによると、住宅、別荘等である鉱泉地、すなわち、鉱泉地の利用者が営業者以外である場合の当該鉱泉地の評価額は、鉱泉地本来の評価額から、その評価額に30/100以内の数値を乗じた価額を減じた価額とされます。
例えば、旅館や料理店等の営業者によって利用されている場合の本来の鉱泉地の評価額を100万円、鉱泉地が営業主以外の者に利用されていることによるその評価額が減額される
割合を30/100とすると、その場合の当該鉱泉地の評価額は、100万円-100万円×30/100=70万円となります。
本来の鉱泉地の評価について
住宅、別荘等の鉱泉地の評価額を算定する際、その基本となる価額は、財産評価基本通達第2章第9節(69)「鉱泉地の評価」に従って評価された本来の鉱泉地の評価額です。そんそて、その評価額は、評価対象鉱泉地にその評価倍率が設定されている地域に所在する場合には、固定資産評価額にその倍率を乗じて算定されます。
一方、評価対象鉱泉地が評価倍率の設定されていない地域にある場合には、当該鉱泉地の相続税評価額は、当該地の固定資産評価額に、その鉱泉地の利用する宅地の鉱泉地の固定資産評価基準時点での評価額に対する、その鉱泉地を利用する宅地の課税時点での評価額の割合を乗じた価額によって算定されます。