生命保険契約の被保険者が死亡し、生命保険金を相続又は遺贈によって取得した者がある場合には、当該保険金には、被保険者、保険料負担者、保険金受取人の関係によって、相続税、贈与税、所得税のいずれかが課税されます。では、保険金受取人が死亡した場合、その課税関係はどうなるのでしょうか。以下で解説します。
保険金受取人が死亡した場合の課税関係とは
保険金受取人が死亡した場合の課税関係とは、相続税法の解釈の基準を示した相続税基本通達(3-34)のことをいいます。
同通達(3-34)では、保険金受取人が死亡した時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約で当該保険金受取人が保険契約者ではなく、かつ、保険料の負担者でないものについては、当該保険金受取人の死亡した時において課税関係は生じないものとする、と規定しています。
従って、保険金受取人が死亡した場合には、保険金を受け取る権利は死亡した保険金受取人の相続人等に相続又は遺贈されることになりますが、その権利の相続には相続税が課税されないことになります。
そして、保険金を受け取る権利の相続があった後、当該保険契約の被保険者である者がなくなり、保険金を受け取る権利を相続又は遺贈によって取得した者が生命保険金を受け取った場合に、初めて、相続税が課税されることになります。
死亡保険金の課税関係について
死亡保険金の課税関係は、被保険者、保険料負担者、保険金受取人が誰であるにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税対象となります。
まず、被保険者をA、保険料負担者をB、保険金受取人をBとした場合、被保険者Aがなくなって、死亡保険金を保険金受取人Bが受け取ると、当該保険金には所得税が課税されます。
次に、被保険者をA、保険料負担者をA、保険金受取人をBとした場合、被保険者Aがなくなって、死亡保険金を保険金受取人Bが取得すると、当該保険金には相続税が課税されます。
最後に、被保険者をA、保険料負担者をB、保険金受取人をCとした場合、被保険者Aがなくなって死亡保険金を保険金受取人Cが取得すると、当該保険金は贈与税の対象となります。
なお、死亡保険金に所得税が課税される場合についてですが、当該保険金が一時金で支払われる場合には、当該所得は一時所得になります。
一方、当該保険金が年金で支払われる場合には、当該所得は公的年金等以外の雑所得になります。
上記のように、死亡保険金を受け取った場合の課税関係は、被保険者、保険料負担者、保険金受取人が誰になるかによって、様々な形態をとるので、実際に死亡保険金を受け取った場合には、この点に注意をしなくてはなりません。