借地権及び区分地上権は、地上権や永小作権とは、用益物権である点では共通して、かつ、お互いに類似する権利で同士です。しかし、その相続税評価方法は、それぞれ異なります。そこで、以下では、それらが異なることとなった根拠となる規定について解説します。
相続税法第22条について
相続税法第22条では、相続財産評価の原則として、相続、遺贈又は贈与によって取得した
財産の価額は、当該財産の取得の時における時価によると規定しています。
同様に、相続財産から控除すべき債務控除の金額も、その時の現況(時価)によると示しています。
相続税法第23条について
一方、相続税法第23条では、地上権及び永小作権の相続税評価額は、当該権利が設定されている土地の、当該権利が設定されていないとした場合の時価に、当該権利の残存期間に応じて定める率を乗じた価額とすると規定しています。
そして、残存期間が、10年以下の5%から50年超の90%までの範囲内で、残存期間に応じて定める率を設定しています。
例えば、残存期間が50年超の地上権で、当該地上権が設定されている土地の当該地上権が設定されていないとした場合の時価が1,000万円である場合には、当該地上権の相続税評価額は、1,000万円×90%=900万円となります。
借地権及び区分地上権の評価について
借地権及び区分地上権の評価は、相続税基本通達の23-1で規定しています。
この規定では、借地権及び区分地上権の評価については、上記の相続税法第23条の規定の
適用はなく、相続税法第22条で規定する原則的な評価方法を採用すべきとしています。
相続財産基本通達によると、借地権の評価は、借地権が設定されている土地の自用地としての相続税評価額に、国税庁が地域ごとに定める借地権割合を乗じた価額になります。
一方、区分地上権の相続税評価額は、区分地上権が設定されている土地の自用地としての相続税評価額に、区分地上権設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合を乗じた価額になります。
なお、ここで、自用地としての価額とは、他人の権利が設定されていないとした場合の
当該土地の評価額のことをいいます。
借地権や区分地上権も、地上権や永小作権と同様に用益物権に該当し、お互いに類似する権利ですから、相続税法第23条に規定する方法で評価してよいようにも思われますが、
相続税基本通達では、その方法の採用を否定して、原則通りの方法で評価すべしとしています。