公社債は国や地方公共団体、企業などが多数の投資家から資金を借り入れるときに発行する有価証券です。国が発行するものは国債、地方公共団体が発行するものは地方債、企業が発行するものは社債というように、さまざまな種類の債券があります。
公社債の中には元利均等償還されるものがあります。ここでは、元利均等償還される公社債の相続税法上の評価について説明します。
1.元利均等償還が行われる公社債
元利均等償還とは、償還金が定期的に同一金額で支払われることをいいます。償還金は元本と利息からなっており、期間の経過に伴って元本と利息の割合が変動します。つまり、期間の初めのほうは、元本が多いため利息は多く、償還金に占める利息の割合が高くなります。償還が進むにつれて、元本は減少し、利息は減少します。期間の終わりのほうでは、元本が少ないため利息は少なく、償還金に占める利息の割合が低くなります。
公社債は利付債か割引債で発行されることが一般的です。利付債は定期的に利息が支払われ、元本は償還期日に一括償還されます。割引債は利息が支払われないものの、券面価額より低い価額で発行され、償還期日に券面価額で償還されることで、投資家は利息に相当する利益が得られます。
元利均等償還が行われる公社債は、「遺族国庫債券」や「引揚者国庫債券」に限られます。これらの債券は先の大戦による戦没者の遺族や強制引揚者に対して、弔慰金、給付金などの支給に代えて交付されたものです。譲渡することはできませんが、相続することはできます。
2.元利均等償還が行われる公社債の相続税評価
元利均等償還が行われる公社債は、定期的に同一金額の償還金が支払われることから、相続税法上は定期金に関する権利の評価に準じた方法で評価すると定められています。具体的には、相続税法第24条≪定期金に関する権利の評価≫第1項第1号の規定を準用します。相続税法第24条第1項第1号では、次のいずれか多い金額で評価すると定めています。
(1) 解約返戻金の金額
(2) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、その一時金の金額
(3) 給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額×残存期間に応ずる予定利率による複利年金現価率
上記(3)の「給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額」は、原則として、1年に給付を受ける定期金の額とします。ただし、1年に1回一定の金額が給付されるもの以外の場合は、残りの給付期間に給付を受ける予定の金額の合計額を、その残りの給付期間の年数で割った額で求めます。
【財産評価基本通達】(公社債)
(元利均等償還が行われる公社債の評価)
197-4 元利均等償還が行われる公社債の価額は、相続税法第24条≪定期金に関する権利の評価≫第1項第1号の規定を準用して計算した金額によって評価する。(昭47直資3-16追加)
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