貸家建付地とは貸家の目的とされている宅地のことで、所有する土地に建築した家屋を他人に貸し付けたときのその土地のことです。例えば、自分が所有している土地に建築した貸アパート、貸マンション、貸家などの建物を他人に貸し付けている場合が典型例です。
なお、同じ土地でも駐車場に利用するよりもアパートに利用する方が税制面で優遇されているため、貸家建付地での土地活用は節税対策になるというメリットがあります。
1.区分地上権とは
区分地上権とは、地下鉄や高架線などの工作物を所有するために地下や空間部分について、その上下の範囲を定めて設定される地上権 のことで、民法 269条ノ2に規定されています。
地下や空間部分に関する権利であることから、地中権・空中権などといわれることもあります。
古い民法においては区分地上権という概念はなかったのですが、社会の変化に伴い他人の土地の地下や空間部分を使用する必要性が出てきました。例えば、地下鉄の敷設であったり、空中モノレールの架線の設置のように土地を立体的に利用するようになったのです。このような要請に応えるべく、民法で新設されたのが区分地上権なのです。
2.区分地上権等の目的となっている貸家建付地の評価
区分地上権等の目的となっている貸家建付地の相続税評価は、次の計算式で計算されます。
・宅地の価額-(宅地の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
宅地の価額の計算は、財産評価基本通達25「貸宅地の評価」~財産評価基本通達25-3「土地の上に存する権利が競合する場合の宅地の評価」に記載された評価方法が採用されています。
また、借地権割合については、財産評価基準書に各地域ごとに記載されているものを直接使用します。借家権割合は国税局が定めることになっていて、30%というのが現在の割合となっています。そして賃貸割合は「賃貸されている部分の床面積」を「家屋の床面積」で除することによって計算されます。
3.具体例による計算
例えば、相続の対象となっている宅地の価額が2億円とします。借地権割合はB評価の80%、借家権割合が20%、賃貸割合が50%の場合について計算します。
2億円-(2億×80%×20%×50%)=2億-1600万=1億8400万円
したがって、区分地上権の目的となっている賃家建付地の評価額は1億8400万円ということになります。
賃貸割合については「賃貸されている部分の床面積÷家屋の部分」の床面積になるため、
家屋の半分が賃貸されているものとして便宜上50%としました。