「不動産登記事務取扱手続準則第68条11号」を引用すると、地目上の原野は「耕作の方法によらないで雑草,かん木類の生育する土地」と定義されています。すなわち、「人間が田畑のように耕作地として手を加えていない状態が長期間に渡り、草が生い茂ったり低木が生育したりしている場所」のことを指します。
これは土地の所有者が個人で判断するものではなく、不動産登記法による「地目」と呼ばれる土地の用途のひとつにあたり、不動産登記所の登記官が現状を判断して登記簿にその旨記載されるものです。その内容を「財産評価総則基本通達第2章7」にて税制上の財産評価にも使用します。
原野の種類
不動産登記上、そして税制上で、原野は次の3つの種類に分類されます。
(1)純原野:市街化調整区域内に存在する原野
(2)市街地原野:市街化区域内に存在する原野
(3)中間原野:「財産評価総則基本通達第2章57」には「通常の原野と状況を異にするために純原野として不適当と認めるものに限る。」とありますが、具体的には「市街化調整区域外にある原野ではあるが、大きな公道が通っているとか周辺地域である程度の宅地化などが行われているなどの、純原野とは明らかに異なった様相を呈していて開発によって宅地などへの転用が簡単に行われると判断されるもの。」を指します。
原野の評価の方式
税制上での原野の評価の方式は、次の方法にて行います。
(1) 純原野と中間地原野:倍率方式(「財産評価総則基本通達第2章21」に述べる方法)
(2) 市街地原野:比準方式または倍率方式
【財産評価総則基本通達第2章57】(評価の方式)
原野の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる方式によって行う。(昭41直資3-19・昭45直資3-13・昭48直資3-33改正)
(1) 純原野及び中間原野(通常の原野と状況を異にするため純原野として評価することを不適当と認めるものに限る。以下同じ。) 倍率方式
(2) 市街地原野 比準方式又は倍率方式【財産評価総則基本通達第2章7】(土地の評価上の区分)
土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする。
なお、市街化調整区域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条((区域区分))第3項に規定する「市街化調整区域」をいう。以下同じ。)以外の都市計画区域(同法第4条((定義))第2項に規定する「都市計画区域」をいう。以下同じ。)で市街地的形態を形成する地域において、40((市街地農地の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40-3((生産緑地の評価))に定める生産緑地を除く。)、40-2((広大な市街地農地等の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40-3に定める生産緑地を除く。)、49((市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、49-2((広大な市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、58-3((市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野、58-4((広大な市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野又は82((雑種地の評価))の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価するものとする。
地目は、課税時期の現況によって判定する。(昭47 直資3-16・平3課評2-4外・平11課評2-12外・平16課評2-7外・平18課評2-27外改正)
(1) 宅地
(2) 田
(3) 畑
(4) 山林
(5) 原野
(6) 牧場
(7) 池沼
(8) 削除
(9) 鉱泉地
(10) 雑種地
(注) 地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて行う。ただし、「(4)山林」には、同準則第68条の「(20)保安林」を含み、また「(10)雑種地」には、同準則第68条の「(12)墓地」から「(23)雑種地」まで(「(20)保安林」を除く。)に掲げるものを含む。【財産評価総則基本通達第2章21】(倍率方式)
倍率方式とは、固定資産税評価額(地方税法第381条≪固定資産課税台帳の登録事項≫の規定により土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(同条第8項の規定により土地補充課税台帳とみなされるものを含む。)に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。以下この章において同じ。)に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいう。(昭41直資3-19・平3課評2-4外・平11課評2-12外改正)
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