「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」ともいわれます。
受益者(受託者(信託銀行等)が信託財産を管理・運用して得た利益を受け取っている者)が死亡した場合に、あらかじめ指定した者に受益権が異動し、またその者が死亡した場合には、次に指定されていた者へと連続して信託財産の利益を継続できる信託のことです。
異動回数に制限はなく、最初の信託契約から30年経過した以降に新たに指定された受益者が死亡するまで継続できます。また、受益者の指定は未だ生まれていない孫なども指定することができます。
前受益者の死亡により受益権を得た場合、相続税が課税されます。何回でも受益件は異動できますが、異動する度に相続税は課税されます。
受益者連続型信託に関する権利の価額
受益者連続型信託の受益権を著しく適正な対価を負担せずに得た場合、信託財産の全部の価額を評価額とします。
受益権が複層化している場合であっても受益権全部を適正な対価を負担せずに得た場合、信託財産の全部の価額を評価額とします。
受益権が複層化している場合であって、元本受益権を適正な対価を負担せずに得た場合は、その評価額は0とされます。よって、元本受益権を得た者に、相続税もしくは贈与税は課税されません。
受益権が複層化しているとは
受益権は収益受益権と元本受益権に分けることを受益権が複層化しているといいます。
収益受益権は、信託財産を管理・運用して得られる収益を受けられる権利のことです。
元本受益権とは、信託期間が終了した場合に、財産を得られる権利のことです。
相続税法基本通達
受益者連続型信託に関する権利の価額
9の3―1 受益者連続型信託に関する権利の価額は、例えば、次の場合には、次に掲げる価額となることに留意する。
(1) 受益者連続型信託に関する権利の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額
(2) 受益者連続型信託で、かつ、受益権が複層化された信託(以下9の3─3までにおいて「受益権が複層化された受益者連続型信託」という。)に関する収益受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額
(3) 受益権が複層化された受益者連続型信託に関する元本受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合(当該元本受益権に対応する収益受益権について法第9条の3第1項ただし書の適用がある場合又は当該収益受益権の全部若しくは一部の受益者等が存しない場合を除く。)零
(注) 法第9条の3の規定の適用により、上記(2)又は(3)の受益権が複層化された受益者連続型信託の元本受益権は、価値を有しないとみなされることから、相続税又は贈与税の課税関係は生じない。ただし、当該信託が終了した場合において、当該元本受益権を有する者が、当該信託の残余財産を取得したときは、法第9条の2第4項の規定の適用があることに留意する。