会社の増資の際新株引受権者が申込期日までに引き受けを申しこないで、引き受けのないまま残された新株のことを言います。一般的には、この引き受けのない株について再募集する、この部分を切り捨てたまま増資を完了することもできます。
同族会社の新株発行に伴う失権株に係る新株発行が行われなかった場合
失権株に掛る新株の発行が行われなかった結果、新株発行割合(新株発行前の当該同族会社の発行済み株式総数に対する新株発行により引き受けのあった新株の総数割合)を基準として、その割合を超えた割合で新株を引き受ける事になった者がある時は、その者のうち失権株主の親族等につては、当該失権株の発行が行われなかったことにより受けた利益の総額のうち、決められた計算式によりだした金額に相当する利益をその者の親族等である失権株主のそれぞれから贈与によって取得したものとして取り扱われる。
失権株になってしま部分を再募集しないで、増資株数が予定株数に満たないまま、切り捨て増資と完了した時、失権株が再発行した場合に受けたであろう利益の総額を計算して、その金額に相当する額が失権株主からの贈与によると判断され税金がかかってきます。
計算式は
①その者が受けた利益の総額
②親族等である失権株主それぞれから贈与により取得したものとする権利の金額
等に分けて計算をします。
「同族会社の発行済株式」の総数には、当該同族会社の保有する自己株式の数は含まれないことなことに注意が必要です。
(同族会社の新株の発行に伴う失権株に係る新株の発行が行われなかった場合)
9-7 同族会社の新株の発行に際し、会社法第202条第1項((株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合))の規定により株式の割当てを受ける権利(以下9-7において「株式割当権」という。)を与えられた者が株式割当権の全部若しくは一部について同法第204条第4項((募集株式の割当て))に規定する申込みをしなかった場合又は当該申込みにより同法第206条第1号に規定する募集株式の引受人となった者が同法第208条第3項((出資の履行))に規定する出資の履行をしなかった場合において、当該申込み又は出資の履行をしなかった新株(以下「失権株」という。)に係る新株の発行が行われなかったことにより結果的に新株発行割合(新株の発行前の当該同族会社の発行済株式の総数(当該同族会社の有する自己株式の数を除く。以下9-7において同じ。)に対する新株の発行により出資の履行があった新株の総数の割合をいう。以下9-7において同じ。)を超えた割合で新株を取得した者があるときは、その者のうち失権株主(新株の全部の取得をしなかった者及び結果的に新株発行割合に満たない割合で新株を取得した者をいう。以下9-7において同じ。)の親族等については、当該失権株の発行が行われなかったことにより受けた利益の総額のうち、次の算式により計算した金額に相当する利益をその者の親族等である失権株主のそれぞれから贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。(昭57直資2-177追加、平18課資2-2改正)
(1) その者が受けた利益の総額
(2) 親族等である失権株主のそれぞれから贈与により取得したものとする利益の金額
(注)
1 (1)の算式中の「A」は次により計算した価額による。
2 (2)の算式中の「F」は失権株主のそれぞれについて次により計算した金額の合計額による。
(D×B+E×C)-A×(B+C)
3 (2)の算式中の「G」は、失権株主のうち親族等である失権株主のそれぞれについて2の算式により計算した金額による。