取引相場のない株式の評価方法には、原則的評価方式と特例的評価方式があり、経営支配権を持つ同族株主がいるかいないか、また、株主自身が同族株主であるかどうかによって評価方法が変わります。
1.同族株主とは
株式を評価する会社の株主のうちの1人およびその同族関係者が所有する議決権割合が30%以上である場合、その株主およびその同族関係者を同族株主といいます。ただし、株主のうちの1人およびその同族関係者が所有する議決権割合が50%超となる株主グループが存在する場合は、そのグループに属する株主およびその同族関係者を同族株主といいます。
民法では親族の範囲を、配偶者、6親等内の血族および3親等内の姻族と定めています。また、税法上の同族関係者とは、親族に加えて、内縁関係の者、使用人、株主等からの金銭で生計を維持する者、一定の特殊な関係にある法人をいいます。このように、同族関係者の範囲は広く定められているので、株式の評価にあたっては、株主どうしの関係について詳細に調べる必要があります。
2.同族株主がいない会社の株式の評価
同族株主がいない会社の株式の評価方法は、株主が所有する議決権割合によって変わります。
次のような場合は特例的評価方式をとります。
(1) 株主の1人およびその同族関係者が所有する議決権割合が15%未満である場合。
(2) 中心的な株主(議決権割合が15%以上の株主グループに属していて、単独で10%以上の議決権割合を所有する株主)がおり、かつ、株主の1人およびその同族関係者が所有する議決権割合が15%以上であり、その株主自身が所有する議決権割合が5%未満で、その株主が役員でないか、役員になる予定がない場合。
上記にあてはまらない場合は、原則的評価方式をとります。
特例的評価方式をとる場合は、配当還元方式によって評価します。配当還元方式は、会社の過去2年間の平均の配当額に基づいて株価を算出する方式です。
原則的評価方式をとる場合は、類似業種比準方式、純資産価額方式もしくは両者の併用によって評価しますが、評価の方法は評価する会社の規模によって変わります。具体的には、財産評価基本通達によって定められた会社の規模別の区分に応じて、下記の方法をとります。
大会社:類似業種比準方式、または純資産価額方式
中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式の併用(併用の割合は3段階)、または純資産価額方式
小会社:純資産価額方式、または類似業種比準方式と純資産価額方式の併用
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