相続したり遺贈されたりした土地の相続税や贈与税を計算するためには、その土地の評価額を算出しなければいけません。
そのときに使用する土地の評価額の算出方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。
この2種類の算出方法は、対象となる土地のある地域に路線価が設定されているかどうかでどちらを使うのかが決まり、選択することができるものではありません。
評価対象の土地が、路線価が設定されている地域にあれば、「路線価方式」が使われ、路線価が設定されていない地域の土地には、「倍率方式」が使われるのです。
路線価方式では、対象の土地に設定された路線価に、対象の土地の形状などを考慮した補正を行って、評価額を算出します。
倍率方式では、何をもって評価額を計算するのか、少し詳しく説明しましょう。
1.倍率方式
倍率方式での土地の評価額は、「固定資産税評価額」に「一定の倍率」を乗じて計算します。
(1)固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税評価基準をもとに各市町村区がそれぞれの土地に対して策定した評価額のことです。つまり、役所が設定する土地の評価額ということになります。その土地の所有者は、この固定資産税評価額から固定資産税を計算して納めることになります。
相続税についても、倍率方式を使う場合にこの価額を利用するわけです。
固定資産税評価額は、主に以下の点から計算されます。
・土地の地目 …… 土地の現在の状況と利用目的
・土地の面積 …… 登記簿に記載されている地積。登記簿に記載がなければ現況の面積
・土地の区域 …… 市街地かどうか
・土地の形状 …… 接道状況や奥行きなどによる補正
またこの価額は、資産価値の変動を適正に反映するため3年に1度見直されます(評価替え)。そのため、相続のタイミングによっては、相続税額が変動する可能性がありますので、注意が必要です。
(2)一定の倍率
倍率方式で使用する「一定の倍率」というのは、国税庁のホームページや税務署などで閲覧することができる、評価倍率表で確認できます。
評価倍率表から、評価対象の土地のある地域の倍率を探し出せば、固定資産税評価額を乗ずることで、評価額が分かります。
2.固定資産税評価額が付されていない場合
相続した土地が払い下げられたばかりだったり、直前に地目が変更されていたりした場合、固定資産税評価額が正しく設定されていないことがあります。
倍率方式で土地の評価額を計算するときの基本である固定資産税評価額が正しく設定されていないため、そのままでは、土地の評価額を計算できません。もちろん、評価替えのタイミングが近ければそれを待ってもいいかもしれません。
しかし、相続税の納税期限が迫っていた場合などは間に合わないことも多いでしょう
その場合は、付近の類似した土地の固定資産税評価額をもとに、条件の違いを補正して算出して、固定資産税評価額相当の金額を算出することになります。そして、その価額に評価倍率を乗じて、土地の評価額を計算するわけです。
なお、相続税の納税期限までに固定資産税評価額が設定された場合は、改めて設定された固定資産税評価額で評価し直さなければいけませんので、注意が必要です。
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