区分地上権が設定されている農地や地役権が設定されている農地(承役地)に対して、耕作権又は永小作権を有している方が亡くなった場合、その方が有していた耕作権又は永小作権は相続税の課税対象となります。では、その際の財産評価の方法はどのようなものでしょうか?以下では、この問題について考えてみます。
~目次~
土地の権利が競合する場合の耕作権又は永小作権の相続税評価
土地の権利が競合する場合の耕作権又は永小作権の相続税評価は、相続税基本通達の
第2章第3節(41-2)によって規定されています。以下では、それに沿って、当該権利の相続税財産評価について説明します。
区分地上権が設定されている農地を対象としている場合
まず、区分地上権が設定されている農地を対象とした耕作権や永小作権の相続税財産評価額は、耕作権又は永小作権の相続税評価額に、1から対象の農地の自用地としての評価額に対する対象農地に設定されている区分地上権の評価額の割合を減じた数値を乗じた価額となります。
例えば、耕作権の価額を30万円、農地の自用地としての評価額を100万円、区分地上権の評価額を20万円とすると、区分地上権を目的とする耕作権の相続税評価額は30万円×
(1-20万円/100万円)=24万円となります。
区分地上権に準ずる地役権が設定されている農地を対象としている場合
区分地上権に準ずる地役権が設定されている農地(承役地)に耕作権や永小作権が設定されている場合の当該権利の相続税財産評価額は、1から対象の農地の自用地としての評価額に対する対象農地に設定されている区分地上権に準ずる地役権の評価額の割合を減じた数値を乗じた価額となります。
例えば、永小作権の価額を20万円、農地の自用地としての評価額を100万円、区分地上権に準ずる地役権の評価額を10万円とすると、区分地上権に準ずる地役権が設定されている農地を目的とする永小作権の相続税評価額は20万円×(1-10万円/100万円)=18万円となります。
地役権が設定されている承役地とは
なお、地役権とは、自分の所有する土地の利用価値を高めるために他人の土地を利用する権利のことを言います。地役権設定により利用価値が高まる土地を要役地、要役地の利用価値を高めるために提供される土地を承役地といいます。例えば、A土地から公道に出るための通路がB土地に設置されている場合、A土地が要役地に、B土地が承役地に該当します。
こういった承役地を目的とし設定されている耕作権や永小作権は、承役地には要役地のための利用制限がかかっているわけですから、当然にその価値が低くなるはずです。この関係を相続税財産評価に反映させているのが、上記の区分地上権に準ずる地役権が設定されている農地を目的とした耕作権等の評価の計算式となります。
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