雑種地の上に存する権利が競合する場合の賃借権又は地上権の相続税評価

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土地の上に存する権利が競合する場合とは、賃借権や地上権が設定されている土地に、さらに区分地上権や区分地上権に準ずる地役権が設定されている場合をいいます。

区分地上権とは、工作物を設置するために上空や地下などで区切って設定された地上権をいいます。地役権とは、利水や通行などのために他人の土地を限定的に利用する権利をいい、区分地上権に準ずる地役権とは、上空や地下などで区切った地役権で建造物の設置を制限するものをいいます。

1.土地の上に存する権利が競合する場合の具体例

土地の上に存する権利が競合する場合の具体例としては以下のものが挙げられます。

● 賃借権が設定されている土地の地下に地下鉄が通っていて、区分地上権が設定されている場合
● 賃借権が設定されている土地の上空に高圧送電線があって、区分地上権に準ずる地役権が設定されている場合

区分地上権や区分地上権に準ずる地役権が設定されていることで土地の使用が制限されるため、相続税法上の評価では、減額することになります。

2.雑種地の上に存する権利が競合する場合の賃借権または地上権の評価

雑種地の上において権利が競合する場合の賃借権または地上権の相続税評価は、賃借権または地上権の評価に基づいて算出した価額から、雑種地の自用地としての価額に対する競合する権利の評価価額の割合を控除した額で評価します。具体的な計算式は次のとおりです。

(1) 区分地上権が競合する場合の賃借権または地上権の評価
[賃借権または地上権の価額]×(1-[区分地上権の評価価額]÷[自用地としての価額])

(2) 区分地上権に準ずる地役権が競合する場合の賃借権または地上権の評価
[賃借権または地上権の価額]×(1-[区分地上権に準ずる地役権の評価価額]÷[自用地としての価額])

賃借権の価額は、原則として、賃貸借契約の内容や利用の状況等を勘案して評価します。ただし、賃借権が登記されていたり、対価として権利金の受け渡しがあったりする場合などは、自用地としての価額に別途定められた割合を乗じて算出します。

地上権の価額は、その残存期間に応じ、取得時またはその年の1月1日におけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、別途定められた割合を乗じて算出します。

区分地上権の価額は、区分地上権が設定されている雑種地の自用地としての価額に、別途定められた区分地上権の割合を乗じて算出します。

区分地上権に準ずる地役権の価額は、区分地上権に準ずる地役権が設定されている雑種地の自用地としての価額に、別途定められた区分地上権に準ずる地役権の割合を乗じて算出します。

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