地目の異なる土地が一体として利用されている場合の評価

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地目の異なる土地が一体として利用されている場合というのは、例えば地目が「宅地」である「建物の敷地として使用されている部分」と、不動産登記事務取扱手続準則第69条(7)において地目が規定される「雑種地」とを一体として保有し運営されている場合のことを指し、例として「利用者がゴルフボールを打つ部分だけ地目が宅地で建物が存在するゴルフ練習場」や「利用者が手続きや待機をする部分だけ地目が宅地で建物が存在する飛行場」のようなもののことを指します。

地目の異なる土地が一体として利用されている場合の評価方法

税制上で地目の異なる土地の場合の評価方法は、原則としては「地目別に評価」することが決められています。
しかし、複数の地目の異なる土地が一体として利用されている場合の評価については、その一体として利用されている土地の「主たる目的として利用されている土地の地目にて財産評価を行う」というのが国税庁の見解です。
これは複数の地目毎に評価を行う原則に従うと、複数の地目の土地を一体として使用することで得られる利益や影響などの現実的な効用が、財産の評価に正しく反映されないという理由によるものです。
そのため、例で挙げた「ゴルフ練習場や飛行場」の場合には、地目毎に評価を行うのではなく、地目を一体である土地すべてを主たる目的である「雑種地」として評価を行います。
なお、地目の異なる土地が一体として利用されている場合の評価においても、「財産評価総則基本通達第2章22-2:大規模工場用地」(注)項目の記載に準じて、一体として利用されている土地が公道などの「不特定多数の者の通行の用に供されている道路」などで分離されている場合は、その分離した部分毎に分けて個別に評価を行う必要があります。

【財産評価総則基本通達第2章7】(土地の評価上の区分)
土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする。
 なお、市街化調整区域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条((区域区分))第3項に規定する「市街化調整区域」をいう。以下同じ。)以外の都市計画区域(同法第4条((定義))第2項に規定する「都市計画区域」をいう。以下同じ。)で市街地的形態を形成する地域において、40((市街地農地の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40-3((生産緑地の評価))に定める生産緑地を除く。)、40-2((広大な市街地農地等の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地(40-3に定める生産緑地を除く。)、49((市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、49-2((広大な市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林、58-3((市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野、58-4((広大な市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野又は82((雑種地の評価))の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価するものとする。
 地目は、課税時期の現況によって判定する。(昭47 直資3-16・平3課評2-4外・平11課評2-12外・平16課評2-7外・平18課評2-27外改正)
(1) 宅地
(2) 田
(3) 畑
(4) 山林
(5) 原野
(6) 牧場
(7) 池沼
(8) 削除
(9) 鉱泉地
(10) 雑種地
(注) 地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて行う。ただし、「(4)山林」には、同準則第68条の「(20)保安林」を含み、また「(10)雑種地」には、同準則第68条の「(12)墓地」から「(23)雑種地」まで(「(20)保安林」を除く。)に掲げるものを含む。

【財産評価総則基本通達第2章22-2】(大規模工場用地)
前項の「大規模工場用地」とは、一団の工場用地の地積が5万平方メートル以上のものをいう。ただし、路線価地域においては、14-2≪地区≫の定めにより大工場地区として定められた地域に所在するものに限る。(平3課評2-4外改正)
(注)  「一団の工場用地」とは、工場、研究開発施設等の敷地の用に供されている宅地及びこれらの宅地に隣接する駐車場、福利厚生施設等の用に供されている一団の土地をいう。なお、その土地が、不特定多数の者の通行の用に供されている道路、河川等により物理的に分離されている場合には、その分離されている一団の工場用地ごとに評価することに留意する。

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