売買目的で保有する有価証券の相続税評価

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取引相場のない株式の相続税評価額は、その会社の純資産の相続税評価額をその会社の発行済株式総数で除した金額を基本として行います。そのため、その評価において、会社の純資産の相続税評価が必要になりますが、その際、会社が販売目的で保有している上場株式はどう評価されるのでしょうか。以下で、解説します。

売買目的で保有する有価証券の相続税評価について

販売業者が販売目的で所有している資産を棚卸資産といい、この棚卸資産を相続によって
取得した場合には、棚卸資産の相続税評価が必要になります。

棚卸資産の相続税評価は、財産評価基本通達第6章第2節(棚卸商品等)に規定する方法で行うことが原則です。

しかし、ある照会者が、取引相場のない株式の相続税評価において必要となる1株当たりの純資産額の計算における、評価会社の資産評価(相続税評価による)の過程で、評価会社が販売目的の棚卸資産として保有する上場株式の評価は、どのように行えばよいのかという質問を、国税庁に行いました。

これに対して、国税庁は、そのような上場株式の評価は、財産評価基本通達第6章第2節で規定する棚卸商品等の評価方法ではなく、同通達169で規定する上場株式の評価方法で
行うべきだ、との回答をしました。

上記の質問及びそれに対する回答が質疑応答「売買目的で保有する有価証券の相続税評価について」となります。

たな卸商品等の相続税評価について

参考までに、財産評価基本通達第6章第2節(棚卸商品等)で規定する評価方法と、同通達169で規定する上場株式の評価方法について解説します。

たな卸商品等の評価は、以下の(1)から(4)に定める方法によって行います。
(1)商品の価額は、課税時期における販売業者が設定する販売価額から、その価額に含
まれる適正利潤の額、課税時期から販売時期までに支出される販売業者が負担する
経費、販売業者がその商品について納付すべき消費税額を控除した金額で評価します。(2)原材料の価額は、課税時期における原材料の購入価額から、その原材料の取引費用
及びその他の諸経費を加算した金額で評価します。
(3)半製品及び仕掛品の価額は、製造業者がその半製品又は仕掛品を購入する場合にお
ける仕入価額に、その原材料の取引、加工等に要する運賃、加工費その他の経費を
加算した金額によって評価します。
(4)製品及び生産品の価額は、製造業者又は生産業者が課税時期においてこれを販売す
る場合における販売価額から、適正利潤の額、予定経費の額その他製造業者がその
製品につき納付すべき消費税額を控除した金額によって評価します。

上場株式の評価について

一方、上場株式の評価は、以下の(1)から(2)に定める方法によって行います。
(1)(2)に該当しない上場株式については、その株式が上場されている金融商品取引所
の公表する課税時期の最終価額によって評価します。
   ただし、課税時期の属する月依然3か月間の毎日の最終価額の各月ごとの平均額の
うち、最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価します。
(2)負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引よって取得した上場株式の価額は、その株
式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価額で評価する。

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