宅地転用が見込めない市街地山林の評価

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市街地山林とは、市街化区域内にある山林をいいます。市街地山林は原則として、近隣の宅地の価額を基に宅地造成費に相当する金額を控除して評価額を算出する「宅地比準方式」により評価します。

しかし、宅地への転用のために多額の造成費がかかる市街地山林や、急傾斜地などのようにそもそも宅地への転用が見込めない市街地山林に対して宅地比準方式で評価することは適していません。このような場合は、近隣の純山林の価額を基に評価することとされています。

1.宅地転用が見込めないかどうかの判断

評価する市街地山林について、宅地への転用が見込めないかどうかを判断するにあたっては、次の観点によることになります。

(1) 宅地化するには多額の造成費がかかるなど、経済合理性から判断する場合
(2) 宅地化することが不可能である急傾斜地など、形状から判断する場合

2.経済合理性から判断する場合

宅地化するために多額の造成費がかかる場合は、宅地としての価額より宅地造成費のほうが高くなり、宅地比準方式で評価すると評価額がマイナスになることが考えられます。この場合は、宅地造成をしても造成費が回収できずに損失を被ることになるため、現状のまま放置されることが多いでしょう。ただし、宅地比準方式による評価額がマイナスになったからといって、その市街地山林が無価値になるわけではなく、純山林としての価値はあります。

したがって、宅地比準方式により評価した市街地山林の価額が純山林のとしての価額を下回る場合には、経済合理性の観点から宅地への転用が見込めない市街地山林に該当すると考えられます。

宅地への転用が見込めない市街地山林の価額は、近隣の純山林の価額を基に評価することとなっています。近隣の純山林とは、評価対象地からみて距離的に最も近い場所の純山林をいいます。

3.形状から判断する場合

宅地造成が不可能である急傾斜地かどうかを判断するにあたっては、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」において急傾斜地の定義を傾斜度が30度以上である土地としていることから、この定義を参考にすることが考えられます。しかし、傾斜度が30度未満であったとしても、宅地造成ができるかどうかは地質によって異なるため、地域の実情に応じて個別に判断することとされています。

宅地造成が不可能な土地は、そもそも宅地比準方式を適用する前提を欠いているため、近隣の純山林としての価額を基に評価することになります。

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