屋敷内にある果樹等の相続税評価

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りんごや梨、柿や桃などの果実がなる樹木「果樹」については、収益源となるものですので財産としての価値のあるものです。そのため、もちろん相続税の対象となります。
相続税の対象になるということは、その評価方法が定められているということになります。

詳しく解説します。

1.果樹の相続税評価

果樹の相続税評価の方法については、樹齢をもとに「幼齢樹(成熟樹に達しない樹齢のもの)」と「成熟樹(収穫物によって収入を得られる程度に達しているもの)」の2つの区分に分けて評価します。

なお、この区分を明確に分けることができない場合は、所得税基本通達49-28に規定されている以下の樹齢をもとに判定することになります。

種類 成熟樹齢
かんきつ樹 満15年
りんご樹 満10年
ぶどう樹 満6年
梨樹 満8年
桃樹 満5年
桜桃樹 満8年
びわ樹 満8年
くり樹 満8年
梅樹 満7年
柿樹 満10年
あんず樹 満7年
すもも樹 満7年
いちじく樹 満5年
茶樹 満8年
オリーブ樹 満8年
桑樹(根刈り、中刈り及び高刈り) 満3年
桑樹(立て通し) 満7年
こりやなぎ 満3年
みつまた 満4年
こうぞ 満3年
ラミー 満3年
ホップ 満3年

所得税基本通達49-28[表2]より抜粋)

(1)幼齢樹の評価

相続開始時にまだ幼齢樹だった場合、その樹を植えた時期から相続開始までの間にかかった苗代や肥料代、薬剤代などの合計金額を100分の70にした金額が評価額となります。

(2)成熟樹の評価

相続開始時にはもう成熟樹に達している果樹については、以下のように計算されます。

 成熟樹の評価額 =(取得金額-償却費の合計)×(70÷100)

取得金額 = その樹を植えた時期から成熟するまでの間にかかった苗代や肥料代、薬剤代などの合計金額
償却費の合計 = 償却費 × 成熟した時から相続開始までの年数(1年未満切り上げ)
償却費 = 取得金額 × 耐用年数に応じた償却率

なお、耐用年数は耐用年数省令に規定されている年数で、果樹ごとに定められています。また、償却率については定額法の償却率というもので、基本的には耐用年数の逆数で計算しますが、割り切れない場合もありますので、こちらも耐用年数省令にて規定されています。

種類 耐用年数(年)
かんきつ樹(温州みかん) 28
かんきつ樹(その他) 30
りんご樹(わい化りんご) 20
りんご樹(その他) 29
ぶどう樹(温室ぶどう) 12
ぶどう樹(その他) 15
梨樹 26
桃樹 15
桜桃樹 21
びわ樹 30
くり樹 25
梅樹 25
柿樹 36
あんず樹 25
すもも樹 16
いちじく樹 11
キウイフルーツ樹 22
ブルーベリー樹 25
パイナップル 3
茶樹 34
オリーブ樹 25
つばき樹 25
桑樹(立て通し) 18
桑樹(根刈り、中刈り及び高刈り) 9
こりやなぎ 10
みつまた 5
こうぞ 9
もう宗竹 20
アスパラガス 11
ラミー 8
まおらん 10
ホップ 9

(耐用年数省令 別表第四 生物の耐用年数表より抜粋)

耐用年数 償却率
2 0.500
3 0.334
4 0.250
5 0.200
6 0.167
7 0.143
8 0.125
9 0.112
10 0.100

(耐用年数省令 別表第八より抜粋)

2.屋敷内にある果樹等の相続税評価

果樹の評価については、収益を得ることができるものの相続が前提となっています。
そのため、屋敷内にあったり、畑の境界にあったりするなどして、数が少なく、収益を得ることを目的として所有していない果樹については、評価額ゼロとして扱います。

【参考】
国税庁 財産評価基本通達 第5章
国税庁 所得税法基本通達49-28(成熟の年齢又は樹齢の判定が困難な場合)
減価償却資産の耐用年数等に関する省令
国税庁 「減価償却資産の償却率表」

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